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 RBA(豪準備銀行)は今月の会合で、政策金利を0.1%に据え置きました。2020年11月に0.25%から0.10%に利下げしてから、政策金利は5カ月連続で変更なし。RBAは、国内雇用市場が回復し、そしてインフレ率が目標レンジ内で定着するまでは、現在の超緩和政策を継続すると表明しています。

 ところが、今月発表されたオーストラリアの3月雇用者数は70,700人増加。2カ月連続で予想を上回る強さでした。失業率は0.2ポイント低下して5.6%まで改善。フルタイム雇用者の減少という減点もありましたが、雇用市場は、RBAの予想よりも早いスピードで回復しています。

 経済の回復度合いを見ると、豪政策金利は下げ止まった可能性が高い。RBAが住宅ブームの過熱を警戒していることも利下げの可能性を遠ざけています。政策金利は当面「変更なし」だとしても、次にRBAが動くときは、利下げではなく「利上げ」になるでしょう。その前段階として、RBAは今年中に「緩和縮小」を開始するとみられています。

 RBAの利下げサイクルが終了したとするなら、金融政策的にはFRBよりも強気(金利面では米国より有利)との見方が、豪ドルにマネーが集まる理由になります。RBAが豪ドル高について警戒コメントを発していないことも、豪ドル買いに安心感があります。

 豪ドルは、米国株との相関関係が強く、世界の景気動向に敏感な「リスクオン通貨」の代表。米経済が勢いを取り戻し、米株式市場が史上最高値を更新する環境はまさにリスクオンであり、豪ドルにとってプラスの材料。一方で対中関係の悪化は、オーストラリアにとっては心配材料。バイデン政権になっても米中関係に目立った改善は見られず、逆に太平洋地域の日本とオーストラリアは米中対立の矢面に立たされています。