米国高配当株1:ダウ・インク(DOW)

 人間の進歩に不可欠な最高の材料科学ソリューションを開発することで、世界最大級の素材・化学メーカーとなりました。2015年、ダウとデュポンは合併し、その後3つの独立した会社に分割するという発表を行いました。

 それから2019年に、素材化学の「ダウ」、特殊産業材の「デュポン」、農業の「コルテバ」となり、それぞれ独立して上場しています。分社化したとはいえ巨大企業であることは変わらず、NYダウ平均株価、S&P100種株価指数などの名だたる主要指数に採用されています。

 時価総額は475億ドルで、日本円で約5兆2,300億円となっています。

事業の注目ポイント

 事業の中心は樹脂・プラスチック成形加工事業(Packaging & Specialty Plastics)で売り上げの約5割を占めており、続いて工業用中間体・インフラストラクチャー事業(Industrial Intermediates & Infrastructure)が約3割、特殊樹脂素材・コーティング事業(Performance Materials & Coatings)が約2割となっています(2020年12月期)。

 樹脂・プラスチック成形加工事業ではポリエチレン樹脂から接着剤、ポリマー改質剤など非常に多岐にわたる製品を取り扱っています。

 また、エリアも米国・カナダ、欧州・中東・アフリカ・インド、アジア太平洋、ラテンアメリカと世界中で事業を展開しており、日本ではダウと東レの合併会社も事業展開しています。

出所:筆者作成

競合他社

 競合他社として、技術及び特殊材料会社であるセラニーズ(CE)、多様なコーティングや特殊材料を製造・販売しているPPGインダストリーズ(PPG)、塗料・コーティング等の開発、製造、流通、販売を行っているシャーウィン・ウィリアムズ(SHW)が見受けられます。

株式の注目ポイント

 株価は昨年2020年の高値を超えています。また、配当については横ばいを維持しています。

 会社側も、世界的な景気回復と業界サイクルの改善によって、2021年は収益性の高い成長を続けることができるとの見通しを立てています。

 ポリエチレンやポリウレタンの需要増加など、景気回復に伴い同社の取り扱う製品への需要が増加していることから、今後、コロナ禍前の業績を超えることで、さらなる株価の上昇もあり得るかもしれません。

業績動向

 2021年1月28日開示の四半期決算はEPS(1株当たり利益)・売上高ともに市場予想を上回りました。

 売り上げの大きい樹脂・プラスチック成形加工事業、工業用中間体・インフラストラクチャー事業では、2020年第4四半期において、売上高と営業利益率は前年同期を上回りました。

 一方、特殊樹脂素材・コーティング事業では、シロキサンや高級パーソナルケアの需要減が影響し、売り上げ・営業利益率ともに前年同期を下回りました。

 今後の世界景気回復の恩恵を受け、業績の悪化した事業の回復が期待されます。次回は4月22日に四半期決算の開示予定ですが、今回同様市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコとの石油化学合弁会社「サダラケミカル」の、コスト削減なども好業績の要因となっています。米国の長年の同盟国でもあるサウジアラビアとの関係は今後も安泰かと思いますが、やはり地政学リスクがあることには注意した方が良さそうです。

株価動向、配当利回り

配当:2.8ドル
配当利回り:4.39%
株価:63.79ドル(約7,000円)

権利落ち日は5月下旬予定(権利実施は6月中旬予定)です(2021年4月13日時点で未確定。2020年を参照)。
配当は2.8ドル、配当利回りは4.39%、株価は63.79ドルで約7,000円から購入できます(2021年4月12日時点)。
2019年4月1日にスピンオフした以降の株価最高値は66.01ドル、最安値は22ドルです(終値ベース)。