短期間に多くの人がワクチン接種。「注射器関連株」に注目が集まる?

 日本でのコロナワクチン接種は、2月17日より医療従事者約470万人を対象に開始されています。4月12日からは65歳以上の高齢者(約3,600万人)が対象となり、そのあと基礎疾患のある人(約1,030万人)と高齢者施設職員へと接種が進むスケジュールが示されており、本格化の様相です。

 この中でワクチン接種を担う医師、看護師の人手不足も懸念されていますが、政府は規制を緩和し歯科医師などが接種を行えるよう検討していると報道されています(4月5日時点)。

 医師は約31万人、看護師・準看護師は約156万人、そこに歯科医師約10万人が加わる可能性があり、ほかの職種(薬剤師約24万人、救急救命士約6万人)にも広がる可能性があります。

 医療情報サイトを運営するエムスリー(2413・東証1部)は、すでに集団検診やワクチン接種などに医師をアルバイトとして紹介している実績があることから、コロナワクチン接種を担う医師を全国の自治体に紹介するサービスを始めるとしています(4月5日時点)。

 高齢者への接種開始を控え、人手不足が指摘されていることに対応したもので、5月にまず500人の紹介を見込むとしています。医薬情報提供で広く利用されている同社サイトを通じ、全国の医師の9割にのぼる29万人とつながっている強みを生かします。

 また、政府はワクチン確保と同時に昨年夏に加藤厚労大臣(当時)が注射器(シリンジ[注射筒]・注射針)の確保に向け、メーカー幹部との会合で協力を要請しています。

 医療器具大手メーカーのニプロ(8086・東証1部)はすでに、米ファイザー社製のコロナウイルスワクチンを1瓶から6回接種できる注射器の生産量を、現在の月50万本から月数百万本に引き上げるとしています。

 短期間に多くの人がワクチン接種を受けることから、株式市場でも本格化に伴い「注射器関連株」が注目されるかもしれません。