ゲーム感覚で投資を捉えることもあり

©三田紀房

◆主人公の財前君のように、実際、子供にも投資はできるでしょうか。そのために子供への投資教育は必要でしょうか。

 投資をすることは、実践を通じて経済を触れることになるので、大事だと考えます。

 そして、子供の最大の能力は熱中すること。子供はゲーム性のあることに、とてつもない集中力を発揮しますよね。本作でも「投資はゲームだ」と描きましたが、実際に運用させてみることが経済教育としても近道なのかもしれません。

 今いろんな金融機関が、子供たちを対象にお金教育のイベントを行っていますよね。しかし、各社やり方もルールも、てんでバラバラ。これでは継続的に投資教育なんてできません。将来の投資家を各社協力して育てるという気概を持って、共通の教育モデルを設計して、いつどこで受けても同じ効果が得られるトレーニングプログラムを作るべきだと、私は思います。

 

◆いま「貯蓄が趣味」という若者が増えていると言われています。

 貯蓄をするだけではリスクになることを、きちんと説明すべきなんでしょう。

 しかし、政府も日本の投資家人口を増やそうといろんな施策をやっているようですが、いきなり日本人の価値観が大転換することはないと思います。「投資は危ない」と考えている人にいきなり投資を勧めても動きません。変なたとえかもしれませんが、メシアが降りてきて、世界観が変わるくらいのインパクトがなければ米国並みに投資家が増えることは無理。

 だから、「貯蓄から投資へ」と極端なことを大声で言うのではなくて、寄り添うように「貯蓄も大事ですよね。だけど、ちょっとだけ投資もやってみませんか。たとえばそのうち3割くらい」とそっとアピールすべきなんだと思います。声をかけたうちの1割でも動いてくれれば、くらいの控えめな姿勢がちょうどいいと思います。