Let’s get Physical

 豪ドルといえば、世界の景気動向に特に敏感な「リスクオン通貨」の代表です。米国株との相関関係も強い。コロナワクチン接種拡大と共に世界経済活性化の機運が高まるなか、オーストラリアの輸出産品である鉄鉱石など資源価格が上昇。豪ドルにとっては追い風となっています。

 RBAは、本日(5日)の会合で、政策金利を0.1%に据え置く方針。政策金利は当面の間「変更しない」と表明しています。国内雇用市場が回復するまで、そしてインフレ率が目標レンジ内に定着するまでは、緩和政策を継続する必要があるとRBAは考えています。

 ところが、先月発表されたオーストラリアの雇用統計は、 失業率が6.3%から5.8%に大幅に下がっただけではなく、その内容もパートタイムが減りフルタイム従業員が増えるなど、「雇用回復は遅れ気味」としたRBA(豪準備銀行)が判断修正を迫られるような良好な内容。

 政策金利は当面「変更なし」だとしても、次にRBAが行動するときは、利下げではなく「利上げ」。マーケットはそう考え始めています。RBAの利下げサイクルが終了したとするなら、金融政策的にはFRBよりも強気(金利面では米国より有利)との見方が、豪ドルにマネーが集まる理由になっています。RBAが豪ドル高について警戒コメントを発していないことも安心感。

 ただ、オーストラリアと中国との貿易、政治関係が悪化していることは懸念材料。アラスカサミットでは米国と中国の対立が改めて浮き彫りになりました。オーストラリアは米国のように中国に対抗する力を持っていません。中豪関係は、2021年の豪ドルにとって無視できない材料になります。