ポイント7:政権は安定している

 全人代は、普段はなかなかお目にかかれない中国独自の「政局」を読む上でも一つの舞台となります。李克強は例年に比べても健康そうで、体調もよさそうでした。全人代の主役とはいえない習近平は、相変わらずぶっきらぼうに李克強の「政府活動報告」を聞いていましたが、両者の間の不和といった状況は見られませんでした。

 また、私が注目してきた王岐山(ワン・チーシャン)国家副主席も全人代に姿を現し、政治局常務委員(7名)に続く存在として、湖南省の分科会などにも顔を出していました。

 私自身は、仮に政権が不安定化するとしたら、そこには習近平と王岐山という“盟友”の関係性に何らかの変化が見られると考えています。その意味で、現状として、政権は(よくも悪くも)安定している(習近平への権力一極集中という状況が続いている)といえます。現段階に関していえば、中国マーケットへの影響という意味では、プラス要因のほうが大きいでしょう。

ポイント8:李克強の記者会見に注目、何が語られるか?

 前述したように、本レポート配信後、李克強が記者会見に臨みます。個人的にはとても楽しみにしています。

 例えば、中国政府首脳として、アリババ・グループの金融関連会社であるアントフィナンシャルの上場延期問題をどう見ているかといった場面が見られるかもしれません。中国共産党として、米国や日本との関係をどう管理しようとしているか、株式市場を含めたマーケットの現状と課題をどう捉えているかといったテーマが、最高レベルの話として聞けるのです。

 仮に私の中で、本当におもしろい話があったと感じたら、また来週のレポートで書きとめたいと思います。どうぞお楽しみに。