配当や優待の利回りが高すぎる場合は要注意

──優待投資初心者は、いま挙げていただいたKDDI、オリックス、イオンあたりを買っておけば間違いないでしょうか。

 はい。あとは、ビックカメラ(3048) 吉野家(9861) も注目です。

 ビックカメラは100株で年間3,000円分の商品券がもらえて、保有株数および保有期間に応じてグレードアップされます。

 吉野家は100株でも1年間保有していると、何と6,000円分の食事券がもらえます。牛丼が嫌いでなければ一考の価値があると思います。

──長く保有すると優待品がグレードアップされる銘柄も、けっこうありますね。

 最近、多いですね。最初から長期保有を考えているなら、そういう銘柄を狙うのも一つの手です。

──では、反対にあまり勧められない銘柄は、どんな銘柄でしょうか。

 利回りが高すぎる銘柄は注意したほうがいいかもしれません。もちろん、配当にせよ優待にせよ、利回りは高いほうがいいです。でも、普通にはありえないくらい高い場合、何か理由がある場合が多いです。

 例えば業績悪化や先行き不安で、市場から放置されて株価が下がり、相対的に利回りが上がっている場合は要注意です。

──その場合、株価が下がって損をする可能性が高いということでしょうか。

 はい、実際、僕も何度か失敗したことがあります。何年か前のことですが、配当と優待を合わせた利回りが8%を超える銘柄を見つけました。そのときはお宝を発見した気分でしたが、購入後すぐ株価が急落し、ひどい目にあいました。

──たしかに8%は高いですね。

 通常は高くても4、5%です。それ以上高い場合は疑いの目で見たほうがいいかもしれません。

──ほかに注意したい銘柄はありますか。

 これは個人的な感想ですが、新たに株主優待を導入した企業で、優待品がQUOカードの銘柄を買うときは少し注意したほうがいいかなと思います。

──どういうことでしょうか。

 企業がなぜ株主優待制度を導入するかというと、1つは株主を集めるためです。とくに最近は優待がブームになっているので、これまであまり個人投資家に目を向けていなかった企業も優待を始めるようになりました。

 ところが、そうした企業の中にはその目的を達成するや、優待を廃止するところがあります。そういう企業は優待品をQUOカードにしているケースが多いんです。

──それはなぜですか。

 自社製品の詰め合わせや食事券、割引券を用意するより手っ取り早く、簡単に導入できて簡単にやめることができるからだと思います。

──なるほど。とはいえ、優待品をQUOカードにしている企業がすべてそうだというわけではないですよね。

 もちろんです。QUOカードはいろいろなお店で使えるので人気もあり、長年QUOカードを優待品にしている企業もたくさんあります。

 ただ、新たに株主優待を導入した企業で、優待品がQUOカードだったら、いったん様子を見るのも手かなと思います。