高成長見通しも低バリュエーション、PPP(官民連携)事業が新たなエンジンに

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銘柄名 株価 情報種類
03969

中国鉄路通信信号

(チャイナ・レールウェイ・

シグナル・アンド・コミュニケーション)

 5.92 HKD
(10/13現在)

株価
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 チャート

  BOCIによると、中国鉄路通信信号の現在株価は、2017年予想PERでわずか12.0倍の低水準にある。利益成長見通しで鉄道車両・設備セクターの同業銘柄を大きく上回るにもかかわらず、予想PERでは28.3%のディスカウント水準。現時点では最も値ごろ感が強く、かつ収益見通しの良好な鉄道関連銘柄であるという。また、地下鉄ビジネスにおける存在感の高さも同社の強み。長期的には同業他社買収の可能性があり、BOCIはこれが長期の投資テーマになり得るとした。17-19年に年率平均18.83%の利益成長見通しを据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

  同社の17-19年増益目標は年率平均20%で、地下鉄事業、PPPプロジェクト、アフターサービス市場の拡大を見込んでいる。BOCIは地下鉄関連事業について、国内全体で17-20年に年平均18.8%の投資拡大を見込み、国内鉄道(長距離鉄道)投資の伸びを上回るとの見方。さらに、同社にとってはPPPプロジェクトが新たなけん引役となる見通しを示した。アフターサービス事業は、20年以降に重要性が増すとみている。

  17年上期の新規受注は前年同期比21.4%増。高速鉄道関連の受注は上期に減少したものの、BOCIは下期の回復を見込む。同社は7-9月期の数字を明らかにしていないが、高速鉄道事業の17年通期の落札規模が鉄道距離にして約3000km(前年実績比20%増)に達するとの見通しを示している。入札から引き渡しまでのタイムラグは約2年。17-18年の受注増と、20年までの相次ぐ引き渡しが見込めるという。

  一方、PPPプロジェクトは同社にとって、いわば新たな事業部門に当たり、BOCIはこの先、新規受注、売り上げともに急成長を遂げるとみている。うちトラム事業を見ると、距離にして570km分が現在建設中だが、建設計画は全体で5700km相当。同社はすでに湖南省長沙にトラム製造用の新規工場を完成させている。中国の既存のトラム総延長は200kmに過ぎず、向こう2-3年で急速に拡大する可能性が高い。

 BOCIによれば、中国鉄路通信信号と中国中車(01766)はそれぞれの鉄道設備分野で独占的なサプライヤー。両社ともにバランスシートは健全で、ネットキャッシュはプラス。利益成長見通しの点で明らかに優位にある中国鉄路通信信号の株価バリュエーションが中国中車を大きく下回っている一因は、戦略投資家による保有株の売却懸念が一因とされるが、BOCIは市場がこの件について過度に悲観的であるとし、ここまでのバリュエーション格差には根拠がないとの見方だ。ちなみに中国中車の現在株価の17年予想PERは18.3倍で、株洲中車時代電気(03898)は同17.2倍。中国鉄路通信信号は12.0倍にとどまるという。一方、レーティング見直しにつながる可能性のある中国鉄路通信信号の潜在リスク要因としては、新規受注の履行が遅れる可能性を挙げている。