景気サイクルと、金利・株価サイクルの関係

 景気・金利・株価は、密接に連携して動いています。景気が拡大・後退のサイクルを描く中で、金利・株価も一定のリズムでサイクルを描いています。

 景気・金利・株価には、一般的に、以下のような関係があります。すべての景気循環で成り立つわけではありませんが、株式運用を考える上で、頭に置いておく必要があります。

景気サイクルと、金利・株価サイクル

出所:筆者作成

 昨年4~6月、世界景気が戦後最悪の落ち込みに苦しんでいる内に、日経平均を含め、世界中の株が急反発を始めていました。それは、今振り返ると、上の表の「不況下の株高」と書いた局面に当たります。

 昨年7月以降、世界経済は回復を始めました。最初は不安だらけの回復でしたが、日米欧の中央銀行が大規模な金融緩和を実施する中で、世界中の株は上昇が続きました。そこは、上の表の「景気拡大・初期」の動きと考えられます。

 さらに昨年11月以降、世界株高が加速しました。中国・米国を中心に世界景気の回復色が強まってきたことが好感されました。ただし、この頃から米長期金利の上昇も目立ってきました。長期金利は2月には1.3%まで上昇しました。米FRB(連邦準備制度理事会)は量的緩和を続けているので、まだ金融が引き締められているわけではありませんが、それでも景気回復を織り込んでの長期金利上昇は始まっています。上の表でいうと、景気拡大期の初期から中期に入り始めていると考えられます。長期金利が上昇しているという意味では、「中期」に入るのですが、まだ金利水準が低く、量的緩和が続けられていることを考えると、「初期」と「中期」をミックスしたような環境にあると言えます。