1月米雇用統計、「悪い」と言い切れない、ある理由とは

 米国の労働市場は依然として、新型コロナ感染とその拡大を食い止めるための努力(ロックダウン)に影響を受けています。

 BLS(米労働省労働統計局)が2月5日に発表した1月雇用統計では、失業率が6.3%に低下する一方で、NFP(非農業部門雇用者数)は4.9万人の増加にとどまりました。専門職やビジネスサービス、教育部門で顕著な雇用の増加が見られましたが、レジャー、接客業、小売業やヘルスケア、そして運輸業部門の雇用減によって相殺されました。

1月の失業率(6.7%)は0.4ポイント下がって6.3%になり、失業者は1,010万人まで減少。失業率、失業者数ともに4月よりも大幅に改善していますが、コロナ感染拡大前の2月時点(失業率3.5%、失業者580万人)に比べると依然として高水準。

 1月の失業者のうち、一時解雇者(レイオフ)は270万人。4月の1,800万人に比べ大幅に減少しましたが、2月時点よりもまだ200万人多い状況。永続解雇者(パーマネント・レイオフ)は350万人と横ばいで、2月時点よりまだ220万人多い。労働参加率はほぼ変わらず61.4%で、2月時点に比べると1.9ポイント低い。平均労働賃金は、前月比0.2%増、前年比5.4%増。ただし低賃金労働者の雇用変動が激しく、傾向分析はまだ困難とのこと。

 しかし悪い材料ばかりではない。1月の平均労働時間(全体)は、0.3時間増加して35.0時間。非農業部門雇用者数が伸びない中での平均労働時間増加は、雇用ニーズが高まっていることを示唆しています。

 米国ではレジャー関連を中心に、この数ヵ月間で60万人近くのレイオフが行われましたが、コロナ感染者数の減少とワクチン接種が進むことによって、これらの人々が再び労働市場に戻ることへの期待が高い。同時に雇用側は、労働力を確保するために賃上げの必要に迫られています。