トルコリラ:今年も「暴落」はあるのか?

 CBT(トルコ中央銀行)は、政策金利を発表します。市場予想は据え置き。

 CBTは、昨年12月24日の会合で、政策金利を17%に引き上げました。市場予想は16.5%。CBTの強気スタンスが評価されてトルコリラは急上昇。対円では13円台半ばから約3ヵ月ぶりとなる14円台戻し、今年1月には14.24円までリラ高に動きました。

 CBT(トルコ中銀)は、昨年9月と11月にも利上げを実施、政策金利を8.25%から15.00%まで引き上げました。世界の中央銀行が新型コロナ対策で強力な緩和政策をとるなか、なぜCBTは流れに逆らってまで利上げするのか?それは国内物価の上昇。最新のデータによると、トルコの食料品は前年比20%以上も高騰。利上げに不満たらたらのトルコのエルドアン大統領も、国民の不満が支持率低下につながることをおそれて黙認するしかなかったようです。

 もうひとつの大きな理由はリラ安防止。インフレ上昇率に見合わない「低すぎる政策金利」を続けたトルコ中銀に失望した投資家はマネーを引き上げ、リラは史上最安値まで売られました。危機感を感じたCBTは金融政策の正常化に本腰を入れることにして、これまでの極端な融資拡大などのインフレ誘因リスクの高い政策を次々廃止や、今回を含めた政策金利の引き上げを実施しました。

 ところが、エルドアン大統領が「高金利が高インフレを招く。金利は低くなるべき」と、また吠え始めました。利下げはないとしても、これ以上の利上げも難しい状況。

 しかし、リラ安は「低金利」だけが理由なのか?トルコは米国のみならず欧州との関係悪化という外交上の大問題も抱えています。米国とはトルコがロシア製ミサイルシステムを購入したことで、欧州とは東地中海のガス田権益を巡って対立。ただトルコ問題は、中東の地政学リスクや難民問題とも密接につながっているので、米欧ともトルコに対して強い制裁は控えている状態。しかし、トルコの外交問題はこれまでもたびたびトルコ暴落の引き金となっているので今年も安心できません。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作