淺沼組(1852)

▼どんな銘柄?

 関西を地盤とする中堅ゼネコンで、官公庁建設に実績が豊富です。2021年3月期上半期実績では、建築が約8割で土木が約2割、官民別では官庁が約3分の1を占めています。

 地域別では大阪が30%強と高いウエートを占め、建築用途では住宅や工場・倉庫が多く、教育研究も高いシェアを占めています。シンガポールに子会社を持ち、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域でのリニューアル事業などを展開しています。

業績見通し

 2021年3月期上半期の営業利益は21.6億円で前年同期比35.9%減益となっています。建設工事の売上が減少する中、人件費など販管費は増加しています。想定ほど売り上げが落ち込まなかったことで、従来計画は上回る着地となりました。

 一方、受注高は民間建築を中心に大きく減少し、従来計画も下回りました。2021年3月期通期営業利益は52.5億円で前期比20.5%減の見通しです。上半期上振れにもかかわらず据え置きとなっていますが、受注の下振れによって、上半期の利益上振れ分が通期にストレートに寄与しない可能性も高いとみられます。

ここがポイント

 2021年3月期は減益予想ですが、中期計画に沿って配当性向は50%に引き上げるため、配当金は大幅増配となる格好です。

 関西地盤のゼネコンであり、過去には万博でプレスセンターやラオス館など建設実績があります。万博接近で関心の高まる余地はありそうです。また、大阪でカジノが開設される場合なども関連案件の受注に期待が向かう可能性もあるでしょう。

三機工業(1961)

▼どんな銘柄?

 設備工事大手企業の一社です。空調、衛生、電気、情報通信、オフィス移転などの建築設備事業、搬送システム、コンベヤーなどの機械システム事業、上・下水処理施設、ごみ焼却施設などの環境システム事業といった幅広い事業領域で展開しています。

 オーストリア、中国、タイ、米国に関連会社があります。ストックビジネス推進に向けて、エネルギー回収型廃棄物処理施設「クリーンヒル天山」を2020年3月に竣工して運営を行っていきます。

業績見通し

 2021年3月期上半期の営業利益は5億円で前年同期比84.2%減となっています。大型工事が端境期であった他、新型コロナウイルスの影響で小口・諸口工事が減収となり、前年同期に発生した好採算案件の一巡も減益要因になりました。

 ただ、半導体関係を中心とした産業空調の大型工事獲得などで受注はプラスを確保、2021年3月期通期では前期比15.7%減と減益率は縮小の見通しです。期末配当金は前期の特別配当が一巡しますが、普通配当は維持の計画になっています。

ここがポイント

「脱炭素」関連の一角としても注目されます。木質バイオマスガス発電設備、低温熱をタンク内の潜熱蓄熱材に蓄熱して車両で運搬し利用先に熱供給するトランスヒートコンテナ、酸素移動効率を大幅に向上させた省エネルギータイプの散気装置「エアロストリップ」、大空間向け温度成層空調「ペリループ」などを手掛けています。

 また、高効率な省エネルギー設備を備えた建築物を指すZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)Readyの物件を2020年7月に竣工させています。

フォーラムエンジ(7088)

▼どんな銘柄?

 エンジニア派遣サービス「コグナビ 派遣」が主力で、機電系大手製造業が顧客となります。人材紹介サービスである「コグナビ 転職」も手掛ける他、2020年7月からはIT人材紹介サービス「コグナビ 転職IT」もスタートさせています。

 9月末のエンジニア派遣サービス在籍技術者数は4,287名、機電系に特化することで稼働率は高水準を保ってきましたが、新型コロナウイルスの影響で9月末の稼働率は88.6%にやや低下しています。

業績見通し

 2021年3月期上半期営業利益は9.3億円で前年同期比60.2%減益となっています。新型コロナウイルスの影響による稼働人員数の減少、テレビCMなどによるプロモーション費用の計上が影響しました。

 人材紹介サービスも、新規登録者数は増加しましたが、企業の採用手控えで転職者数は減少しています。2021年3月期通期では14.9億円で前期比63.5%減益の計画です。上半期の実績から見ると、やや保守的な予想と映ります。

ここがポイント

 機電分野は市場が順調に回復傾向にあり、昨年の緊急事態宣言発出時と比較して、派遣ニーズの落ち込みは限定的になると考えられます。新たに参入したIT系とは募集シナジーも期待でき、今後の展開に期待が持てます。

 同社の配当性向は60%をメドとしていますが、今期に限っては安定配当の維持を優先とし、配当金は前期実績並みを想定しています。これは、来期以降の業績回復に対する自信の表れとも受け止められるでしょう。

夢真HD(2362)

▼どんな銘柄?

 建設技術者派遣が主力事業で、施工管理技術者やCADオペレーターの派遣、施工図作図請負などを行っています。また、製造業界向けやIT業界向けのエンジニア派遣事業、外国人材の採用・教育・紹介事業も手掛けています。

 建設技術者派遣の取引社数は約2,000社で、特定企業には依存していません。未経験者の採用・育成をメインとする戦略で人材採用を積極化させており、2020年9月末の在籍技術者数は5,348人(建設技術者派遣)となっています。

業績見通し

 2020年9月期営業利益は53.1億円で前期比36.4%増益となりました。派遣単価の上昇を背景に建設技術者派遣事業とエンジニア派遣事業が伸張し、M&A(合併や買収)による新規連結化効果も寄与しました。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う採用抑制で、販管費も削減されています。2021年9月期は60億円で同13.1%増の計画としています。採用の積極化による事業機会の拡大、エンジニア派遣における派遣単価の上昇などを見込んでいます。

ここがポイント

 建設市場は今後も再開発案件増加など市場拡大傾向が続くとみられる中、業界では高齢化進行など人手不足が今後深刻化も予想されます。派遣ニーズは当面高水準の状況が続く見通しです。

 エンジニアリング業界も人手不足感は同様であり、同社ではクラウドエンジニアの育成などに注力するようです。規制緩和による外国人労働者の増加も将来的に予想され、外国人採用・育成事業とのシナジー効果なども今後期待できるでしょう。

イーグル工業(6486)

▼どんな銘柄?

 液体や気体など流体の漏れを防ぐ部品であるメカニカルシールの大手企業で、特殊バルブ製品なども手掛けています。自動車・建設機械業界向けが6割超、一般産業機械向けが2割超を占めています。半導体や船舶向けなどにも供給しています。

 2005年からはドイツのブルグマン社と事業提携契約を締結しており、海外売上は欧州向けの比率が高くなっています。NOK(7240)が約3割を保有する筆頭株主です。

業績見通し

 2021年3月期上半期営業損益は2.2億円の赤字で前年同期比42.6億円の損益悪化となっています。自動車・建設機械業界向け売上の落ち込みが大幅減益決算の背景です。2021年3月期通期では11億円で前期比80.9%減益の予想となっています。

 7-9月期は6.2億円の黒字を計上しており、計画達成の確度は高いと考えられるでしょう。2021年3月期は大幅減益見通しでありますが、安定配当の観点から配当金は前期と同水準の50円を計画しています。

ここがポイント

 高い配当利回り水準に加えて、PBR(株価純資産倍率)水準も0.6倍台で、株価バリュエーションには割安感が強いと考えられます。第3四半期決算を受けて、上昇幅を広げる余地は大きいとみられます。

「環境・省エネ」に資する新商品開発を積極化させています。2021年3月期には、欧州自動車メーカーからEVモーター用メカニカルシールを受注、2030年にはEV向け製品販売120億~130億円を目標としています。また、風水力発電分野への展開も進めています。