2021年の日経平均は半導体株などをけん引役に堅調スタート

 2020年12月11日から2021年1月15日まで、直近1カ月間の日経平均株価は7.0%の上昇となりました。2万7,000円を目前に上値の重い動きが続いていましたが、大納会にかけて上放れとなり、年明け直後こそ売り優勢となったものの、その後は再度の上値追いに転じて、14日には2万9,000円に急接近する状況となっています。

 同期間のマザーズ指数は2.6%の上昇にとどまっており、主力大型株が主導する上昇相場となりました。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、英国などでの変異種への懸念も強まり、上値追いには慎重な姿勢が続いていましたが、一方では25日移動平均線が支持線として意識され、年末にかけては米国での追加経済対策成立を受けて上げ幅を広げました。

 新年に入って、緊急事態宣言発出への警戒感が強まる場面もありましたが、5日に米上院議会選挙の決選投票が行われ、民主党が大統領職に続いて議会の上下両院も制する「トリプルブルー」となりました。これにより、政局の不透明感が後退し、インフラ投資拡大などへの期待感が再燃することとなり、株式市場には先高期待が強まりました。

 期間中、半導体需給のひっ迫なども伝わり、レーザーテック(6920)SCREEN(7735)ルネサスエレク(6723)など、半導体関連株の強い動きが話題となりました。1月14日には半導体受託製造大手の台湾TSMCが決算を発表、2021年の設備投資計画が想定以上のものになったことも注目材料となりました。

 また、米国の「トリプルブルー」を受けて再生エネルギーの市場拡大期待が再燃、レノバ(9519)日立造船(7004)なども人気化しました。ほか、ビットコイン価格が急騰し400万円を一時突破したことで、マネックスG(8698)などの関連株も買われました。

 一方、チェンジ(3962)GMOグローバルサイン(3788)などDX関連の一角には利食い売りが優勢となり、新型コロナウイルス感染再拡大で、観光や運輸関連株なども軟化しました。

過熱感が残るものの、世界的な金融緩和の長期化を背景に買い優勢の相場展開が続く

 200日移動平均線との乖離(かいり)率は1月14日現在で24.6%に達しており、短期的な過熱警戒感は拭えない状況です。昨年末以降の株価再上昇の際と同様に、25日移動平均線の上昇を待つ必要もありそうです。

 ただ、株価のバリュエーション自体に関しては、異例の過剰流動性を考慮すれば許容可能と判断できます。日米欧の大規模金融緩和が続く限り、株式市場への資金流入は継続するとみられるため、大きな相場の崩れは想定しにくいでしょう。

 少なくとも、新型コロナウイルスの感染拡大が続く限り金融政策の引き締め方向への変化はないとみられ、株式市場にとっては逆に安心感につながりやすい状況にあります。引き続き、押し目買いが妙味の相場展開となりそうです。

 当面の注目ポイントとしては、日本銀行、ECB(欧州中央銀行)、FOMC(米連邦公開市場委員会)など各国の金融政策決定会合が挙げられます。現在の感染状況から見て、長期的な金融緩和策の維持が示される公算は大きく、株式市場の支援材料になるものとみられます。

 また、国内外企業の10-12月期決算発表も大きな関心事となります。国内では25日から主要企業の発表が本格化します。とりわけ、半導体関連各社の決算は、海外企業も含めて現在の好環境があらためて認識されるものとなりそうです。

 関連企業の好決算が確認されるたびに、EV(電気自動車)関連、巣ごもり消費関連銘柄などの物色が再度強まる可能性も高そうです。

 2度目の緊急事態宣言発出を受けて、足元の百貨店販売などは失速感が強まってきています。

 目先は、新型コロナウイルス感染拡大・緊急事態宣言によるマイナス影響が大きい銘柄と、影響が限定的な銘柄での二極化の流れが強まっていくものとみられます。影響が限定的とみられる銘柄では、これまで慎重姿勢を崩していなかった銘柄などで通期業績予想の上方修正なども多くなっていくと考えられます。

 なお、過剰流動性相場では大型株が優位とはいえ、マザーズ市場の相対的な出遅れ感は強く、好決算期待の新興市場銘柄を個別に物色する動きなども強まる余地はあるでしょう。