米中の対立拡大と板挟みの日本
3位の「気候変動問題」と4位の「米中の対立拡大」は、どちらも米中の覇権争いにまつわるリスクとして挙げています。
貿易や人権を巡る従来の問題に加え、気候変動やワクチンを巡る主導権争いにより、「米中対立は複雑化し、緊張が高まる」と分析し、クリーンエネルギー技術を巡る米中間の競争が激化し、「気候変動問題は産業と国家の安全保障政策の問題となる」と予測しています。米国から連携を求められる同盟国も中国との関係に「深刻な亀裂が生まれる」と分析しています。
特に日本については、大きな影響を与えると予測しています。
日本の安全保障は米国に依存していますが、経済では中国との関係が重要になっていることから、「米中の緊張が高まると日本はその間で板挟みになる」と指摘。「日本の総理は米中対立の板挟みになってはいけないと理解している」が、「私たちのリポートは日本がそれを回避することが困難だと示している」と分析しています。日本にとって多難の年になるかもしれません。
リスクシナリオの準備が肝要
以上のように今年も政治要因の比重が大きいため、経済環境とは別の大きな流れの中で為替の動きを見ていく必要があります。政治リスクは突然起こる場合は避けようがありませんが、事前にリスクの兆候が見られ、そのリスクが高まってくる場合はそのリスクに対応する準備ができます。為替の想定シナリオに、そのリスクシナリオも加えておくのとおかないのとでは大きな違いがあるため、事前に準備しておくことが肝要となります。