先週の国内株市場は地政学的リスクへの警戒で軟調な展開が目立ちました。週末4月14日(金)の日経平均終値は18,335円となり、前週末終値(4月7日の18,664円)からは330円近く下げているほか、週末にかけては3営業日連続で年初来安値を更新しています。14日(金)はオプション取引、mini先物取引のSQ日だったことも、下げのピッチを早めた要因になったと思われます。

(図1)日経平均(日足)の動き その1(2017年4月14日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

まずは、いつもの通り上の図1で足元の状況を確認してみます。

3本の移動平均線(5日、25日、75日)が下向きになる中、ローソク足は5日平均線によって上値が抑えられています。冒頭でも触れた通り、年初来安値を連日で更新していますので典型的な下落トレンドの格好です。

ただ、売りの勢いがものすごく強いのかというと、そこは微妙なところです。先週のローソク足は週末14日(金)の大陰線を除き、実体(箱の部分)が短く、下ヒゲが長いものが多くなっています。実体が短いということは、始値と終値の差があまり開かなかったことになり、下ヒゲの長さは安値をつけた後に買い戻されたことを意味します。

つまり、先週は「夜間の海外株市場や為替市場の流れを受けて、国内株市場は一段安でスタートし、ゆらいだ投資家心理を反映しつつ下値を探る場面があるも、引けにかけては多少の買い戻しが入る」という値動きが続いたことが窺えます。結果的に日経平均は大きく下げてはいるのですが、外部要因で水準が下がっている印象が強く、そこにはあまり売りの積極性が感じられません。

また、13日(木)と14日(金)のローソク足の組み合わせですが、13日(木)の陽線を14日(金)の陰線が包み込むような格好になっており、いわゆる「抱き線」になっています。相場の下落局面でこの組み合わせが出現すると、「最後の抱き線」と呼ばれ、底打ち転換となることが多いサインとされています。これは明るい材料です。

ですので、テクニカル分析的には下げ渋りと打診買いを考慮すべきタイミングに来ているのかもしれません。今がその好機かどうかを探ってみます。下の図2は日経平均(日足)の水準感です。

(図2)日経平均(日足)の動き その2(2017年4月14日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図2は、いわゆるトランプ相場と呼ばれる昨年11月9日からの日経平均の値動きと値幅を示したものです。足元はちょうど上昇幅の「3分の1押し」の水準ですので、下げ渋りを見せてもおかしくはないと言えます。前回も紹介した、最初のトランプ相場の上場が一旦止まってもみ合った昨年11月24日〜12月7日のレンジでもあります(18,222円〜18,746円の範囲)。この水準をキープできれば戻りを試すシナリオの可能性が高まる旨を指摘しましたが、引続きこの見方に変更はなさそうです。

とはいえ、このまま「半値押し」、「3分の2押し」の水準まで下落基調が続いてしまうシナリオも十分残されています。実際に下の図3のボリンジャーバンドでは、バンドの幅が拡大しながらトレンド発生中であることがわかります。

(図3)日経平均(日足)のボリンジャーバンド(2017年4月14日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

トレンド発生中のボリンジャーバンドでは、トレンドが発生しているのとは反対のバンドに注目し、このバンドがクイッと方向転換した時に、ひとまずトレンドが止まることが多いとされています。上の図3では+2σ(シグマ)のバンドに注目します。このバンドが方向転換した辺りが足元のトレンドがいったん休憩し、目先の反発局面をねらうのであれば、ここが打診買いを入れるポイントとして意識されることになります。

ただし、この判断方法はトレンドがひとまず止まる目安となるもので、トレンド転換の判断ではありません。再びトレンドが再開すれば、全てのバンドが同じ方向を向く、「バンドウォーク」となって強いトレンドが継続するシナリオが有力になりますので注意が必要です。