食糧問題と環境問題への対応は?

(7)米国との長期的競争を意識した「食料安全保障」が国家戦略に

 会議は「食料と耕地の問題をしっかり解決する」と、食料安全保障を来年の経済政策における優先項目にあげました。14億人を養うために、近年、中国は食糧の純輸入国として歩んできました。

 例えば、2018年、中国は32億人民元を使って7.27万トンの食糧を輸入しています。会議は、120万平方キロメートル、すなわち国土の8分の1を食料生産のための高地にするという「レッドライン」を明記しました。

 3年ぶりに中央経済工作会議で審議された「食料安全保障」は、明らかに米国との国力の競争が長期戦になるという前提に立っています。政府は、食料生産に不可欠な耕地(土地)を非農業、非食料生産の目的で開発、使用することを断固として封じ込めるという立場を表明しています。

 今後、中国は全国各地の党・政府による支持の下、農業関連の研究開発や技術革新が促進される見込みです。農業、食料関連の銘柄が今後どう推移するか注目の価値ありです。

(8)環境汚染、気候変動対策を戦略的に推進

 今年に入ってから、習近平総書記も表明したように、中国は国家目標として、二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにCO2排出量と除去量を差し引きゼロにするカーボンニュートラルを目指しています。

 会議では、前者のための行動計画を一刻も早く制定する任務がうたわれ、条件が整っている地方から目標達成に邁進することを中央政府として支持する立場を表明しました。

 この過程で、産業、エネルギー構造を最適化し、石炭消費を可能な限り減少に転じさせ、再生可能エネルギーの大々的発展を推進することを提唱しました。これから、大規模な「国土緑化行動」を推進していくとも提起しています。

 私から見て、中国共産党指導部は、環境汚染や気候変動に関する対策を、国内では人々の生活環境を改善させ、持続可能な経済を実現し、対外的には中国の影響力や発信力を向上させることができる分野だと認識し、高度に重視してきました。この傾向は、米国がバイデン政権に移行する過程で、強まることはあってもその逆はないでしょう。

 中国共産党の政策分析という観点から言えば、政府の環境汚染、気候変動政策に関与、貢献する分野、銘柄、例えばクリーンエネルギー株などは一押しです。短期的に見ても、長期的に考えても、下落する理由や背景が見出せません。

 この分野には勢いのある民間企業が多く、コーポレートガバナンスや透明性という意味でも、中国の中では先進的です。中国の環境分野に資本、技術、管理経験といった側面から参画する外資も面白いかもしれません。