3月末を迎えた先週金曜日(3月31日)の国内株市場ですが、日経平均の終値は18,909円となりました。節目の19,000円を割り込んでしまったほか、月足ベースでも3カ月ぶりの下落に転じています。

(図1)日経平均(日足)の動き(2017年3月31日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

いつもの通り、足元の状況を上の図1の日足チャートで確認してみます。

先週の値動きで目立つのは、やはり月末の大きな陰線です。日経平均は週初に19,000円台割れを見せたものの、その後は回復。3月権利落ち日にあたる29日(水)の取引でも、配当落ち分の下落をこなしていただけに、最後の最後に大きな下落を見せたことで相場のムードに影を落としてしまった印象です。75日移動平均線も上値を抑える存在として意識されているようです。

また、日経平均の値動きは3月21日を境として、上値と下値の「切り上げ」から「切り下げ」へと変化しており、トレンドの転換に警戒しておく必要が高まってきました。

今年に入ってからの値動き(2017年1月~3月)を振り返ってみますと、この期間の値幅が約1,000円のレンジ相場で、足元の日経平均はまだこのレンジ内での推移に収まっていますし、日経平均の25日移動平均線のエンベロープを見ても、25日移動平均線を挟んで上下3%の乖離内で収まっています(下の図2)。

(図2)日経平均(25日移動平均線)のエンベロープ(2017年3月31日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)

そのため、目先の注目点はレンジの維持となり、日経平均の水準としては年初来安値である18,650円割れを回避できるかになります。

先週末の日経平均(18,909円)と比べると、まだ250円ほどの下値余地がありますが、再び図1に視点を移すと、下向きの25日移動平均線が75日移動平均線に接近していることが分かります。このまま下抜け(デッド・クロス)を見せてしまうと、下値トライの動きが加速してしまうことも考えられるため、注意が必要です。

仮にレンジを抜けてしまった場合は、エンベロープの±6%乖離の範囲が意識されそうです。図2にある、昨年11月~12月の上昇局面を見ても分かるように、この数年の日経平均は6%程度の乖離が上振れや下振れの目安として機能することが多いです。

最後に、もう少し長いレンジで現在の日経平均の位置を探ってみます。

(図3)日経平均(週足)の線形回帰トレンド(2012年11月~)

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)

上の図3は、アベノミクス相場が始まったとされる2012年11月を起点とした、日経平均(週足)チャートと線形回帰トレンドです。

回帰トレンドの説明は前回に譲りますが、ここでは、株価が中心線よりも上にあるか、下にあるかで見ていきます。株価が中心線よりも上にあれば強め、下にあれば弱めというわけです。

ここ数カ月の日経平均は中心線が上値の抵抗として機能していることが分かります。そのため、今後のシナリオとしては、①「このままもみ合いと続けながら2万円を目指す」、②「中心線と-1σ(シグマ)ないしは-2σに挟まれた弱めのレンジ相場」のふたつが有力候補といえそうです。