宇部興産(4208)

▼ここがポイント

 リチウムイオン電池セパレータ(マクセルとの合弁会社で展開)では自動車用で世界シェア1割を握っており、また、独自の有機合成技術を用いた高純度溶剤、炭酸ジメチルなどをベースに電解質を混合したリチウムイオン電池用電解液も手掛けています。

 こちらは、三菱ケミカルと2020年10月に新会社を設立しています。リチウムイオン電池の素材に関しては日本企業が強みを持っており、電気自動車の市場拡大に沿ったメリットが期待できるでしょう。

業績見通し

 2021年3月期上半期営業利益は34.1億円で前年同期比79.6%減益となっています。ナイロン・ファインの販売価格下落の影響を中心とした化学セグメントの大幅減益が響きました。

 ただ、第1四半期は6億円の赤字であったため、化学セグメントをはじめ、業績は当面の底を打ったものと考えられます。通期では215億円で前期比36.8%減益の見通しとなっています。

トーヨーカネツ(6369)

▼ここがポイント

 本格的な水素社会の到来を先取りして、電力会社などでの利用が期待される大型水素貯蔵タンクの開発を、東京工業大学と協力して進めています。

 現在の世界最大容量をはるかにしのぐ1万立法メートル級のタンク建設を目指しています。水素発電市場での大きなインフラとなってくる見通しです。

業績見通し

 2021年3月期上半期営業利益は10.6億円で前年同期比43.2%増益となっています。機械・プラント事業において一部低採算案件の計上などもありましたが、物流ソリューション事業がプロジェクト管理強化などにより採算改善、収益をけん引しました。

 上半期の受注高は大きく落ち込みましたが、受注残高は前年同期並みであり、通期では21.6億円で前期比16.7%減益見通しです。なお、ネット通販市場拡大により、物流ソリューション事業は今後堅調な推移が続くものとみられます。

若築建設(1888)

▼ここがポイント

 これまでも洋上風力発電所向け工事の実績はありますが、12月には洋上風力発電事業への対応強化のため、新たに洋上風力開発室を設置しています。

 再生エネルギーとして風力発電の市場拡大が期待されていますが、風力発電は一般的に風の状況が良い洋上に適しているとされています。海上土木会社である同社の風力発電市場への積極姿勢は今後注目されてくるものと考えます。

業績見通し

 2021年3月期上半期営業損益は2億円の赤字で前年同期比27.7億円の損益悪化となっています。工事進捗の遅れなどもあって、土木・建築ともに売上高が大幅に減少し、福岡市のマンション建替えに関わる一過性の費用増なども影響しました。

 新型コロナウイルスの影響による発注の遅れで受注も減少しており、2021年3月期通期でも、営業利益は前期比47.4%の大幅減益見通しです。

エクセディ(7278)

▼ここがポイント

 電動化対応ダンパーなどを手掛けています。エンジンとモータの両方を動力として走行するパラレル走行時のこもり音を抑制する特徴があります。

 電動化対応製品の他、産業用ドローンなど向けに小型ダイレクトモータも扱っています。ドローンの普及なども「脱炭素」推進にはかかせないものとみられます。その他、小型風力発電機なども共同開発しています。

業績見通し

 2021年3月期上半期営業利益は13億円で前年同期比85.3%減益となっています。自動車生産台数の減少によって、日本、米国、アジアともに売上高が減少しています。

 2021年3月期通期でも55億円、前期比67.2%減益の見通しですが、第3四半期決算時には従来の15億円から上方修正しています。中国をはじめ、各国での経済活動の再開によって緩やかに受注が回復しているようです。

オートバックスセブン(9832)

▼ここがポイント

 電気自動車やプラグインハイブリッド自動車向けのインフラとして、電気自動車充電スタンドを103店舗(2019年10月現在)設置しています。市場拡大のための重要なインフラとして位置づけられる他、店舗での自動車用品購買の契機にもつながっていくとみられます。

 また、バッテリーなどを整備するメンテナンス需要なども増加が見込まれ、体制構築も積極化しています。

業績見通し

 2021年3月期上半期営業利益は35.8億円で前年同期比19.4%減益となっています。新型コロナの影響による4~5月の売上減少、消費増税前の前年9月特需の反動など悪影響が重なりました。

 2021年3月期通期では76億円で前期比0.2%増と増益に転じる予想になっています。足元の既存店売上動向では、10月に入って回復基調が鮮明化しているので、達成の可能性も高いと考えられます。