ユニクロ株で1,000万円の利益をあげる

──その後、ユニクロ株で大きな利益をあげるんですよね。購入するキッカケは何だったのですか。

 僕は岐阜県生まれなのですが、当時は勤務していた会社の関係で、北九州市に住んでいました。家の近くに、やたらと繁盛している衣料品店があったんです。休日はいつ通りかかっても駐車場に入れないクルマの行列ができている。それがユニクロだったんです。その頃は中国地方や九州に点在していたローカル企業で、全国的にはほとんど知られていませんでしたが、この会社は絶対に伸びるだろうと考え、とりあえず買ってみたんです。

──すぐに値上がりしたのですか。

 いえ、僕が買ったとき株価は4,000円前後でしたが、1,000円くらい下がりました(笑)。当時、ユニクロではいろんな新規事業を始めていたのですが、それらがうまくいっていなくて。もっとも、その頃はインターネットが普及していなかったので、毎日株価をチェックしていたわけではありません。気づいたときにはかなり下落していて、これはマズいなと。

──でも、その後、急騰するわけですよね。

 はい、たしかフリースが大ヒットしたあたりからものすごい勢いで株価が上昇し、一時は4万円台の値を付けました。大量に保有していたわけではありませんが、それでも1,000万円ほど利益を出しました。

──本格的に投資を始めて間もない頃に、そういう成功体験ができたのは大きかったかもしれませんね。

 それは間違いありません。僕は「自分の身近なところで成長しそうな会社を探して投資する」というやり方で資産を築いてきたのですが、そのやり方に行き着いたのはユニクロの経験があったからです。

──アイルさんの投資人生の出発点といえそうですね。

 はい、ただし、いい意味でも悪い意味でもですが。

──悪い意味でも?

 あのときは株価が下がっても売らなかったから大きな利益を得られました。まあ、下がったのを知らなかったわけですが。その経験があるため、損切りできない体質になってしまったんです(笑)。株価が下がる一方でも、そのうちまた上がるかな、と考えてしまい、売るタイミングを逸してしまう。

──えっ、損切りしないんですか?

 いや、どうしようもなくなったらしますよ。でも、売ろうか売るまいか迷っているうちに5分の1、10分の1になってしまうこともあるんです。

──でも、そこから復活することもあるのでは?

 いや、ほとんどないですね。5分の1、10分の1に暴落したら、よっぽどのことがない限り、復活はしません(笑)。

──じゃあ、やっぱり早めに決断するに越したことはないと。

 そう、それはわかっているんです。でも、それができない(笑)。

──とはいえ、専業投資家になって数年で1億円の利益に到達したくらいなのですから、普段はうまく立ち回っているのだと思いますが。

 大量に保有している主力株については慎重になりますよね。その銘柄を取り巻く状況が変わったら、まずは1割ほど売って様子を見、さらに状況が悪化したらもう1割売るとか。それでももう少し保有しておけばよかったとか、もっと早く売っておけばよかっと思うことはしょっちゅうあります。

──それがない人はいません(笑)。

 そう。だから、いちいちくよくよしないようにしています(笑)。