ここでのポイントは、つなぎ売りは保有株式の値下がりリスクを回避するための手段であること、すでに現物株で利益が出ている場合、つなぎ売りと現渡によって現時点での利益がいったん確定できるという点です。

 とはいえ、株価が下落しそうな場面でつなぎ売りをして、底を打ちの場面で買い戻しをするといったタイミングを捉えるというのは相当難しいと思います。ですので、つなぎ売りは「相場判断に迷いが生じた際の時間稼ぎ」として割り切ることも大事かと思います。少なくともつなぎ売りをしている期間は価格変動リスクが回避できます。

 また、「株主優待取り」として良く知られている取引手法も、つなぎ売りと現渡を組み合わせたものです。株主優待の権利付最終日に「現物買い・信用売り」を行い、権利落ち日以降に現渡を行うことで、株価の変動リスクを回避しつつ、株主優待をゲットできます。なお、この取引手法についてはこちらに詳しく載っています。

 ちなみに、株主優待取りでは逆日歩の発生がリスクとなります。逆日歩については以前も紹介したように、いつ、いくら発生するか分からない「厄介」なものです。ですので、信用売残が多い銘柄や、「貸株注意喚起」となっている銘柄、直近で逆日歩が「0円」となっている銘柄(結果的に逆日歩は発生していないが、株不足によって逆日歩決定の入札自体は行われている)、過去に逆日歩が多く発生している銘柄などはなるべく避けるといったことが大切です。

≫≫1分でわかる信用取引17【信用取引戦略】現物取引と賢く使い分ける(その1)

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