最悪なのは、損失が発生している建玉を保有し、「今は損をしているが、もう少し待てば株価が上がるかもしれない」といったん現引したものの、株価が下落し続けてしまい、塩漬けになってしまうケースです。返済を実行した時点で、これまでの損益がいったん確定しますが、現引はその後も現物株として保有するため、その後の株価の変動でさらに損益が発生することになります。

 なお、多くの証券会社では現引に対して取引手数料がかかりません。また、信用取引の取引手数料が現物株取引よりも安くなっている証券会社もあり、その手数料の差や保有期間にもよりますが、手数料の安い信用取引で買い建てをした後に現引をして、普通に現物株を買うよりも安い手数料負担にするといったことも一部で見られるようです。確かに取引コストへの意識も大切ですが、あまり取引自体を複雑にしても、肝心な建玉の管理が疎かになってしまっては意味がないので、こちらはあまりお勧めしません。

 次回は、もうひとつの決済方法である現渡について見ていきたいと思います。

≫≫1分でわかる信用取引16【信用取引の決済】現引(げんびき)、現渡(げんわたし)とは(その2)

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