4:中小不動産の集約化         

「歴史的な低金利とカネ余りが進む中、新型コロナの影響で築年数が経過した中小の雑居ビルの空室が目立つようになりました。これまで不動産の権利関係が複雑すぎて、再開発が難しかった繁華街エリアでも、これを機に全国で一気に再開発が進捗する可能性があると思います。不動産株はもちろんですが、事業の一部で不動産賃貸をしている企業、自社店舗を持つ小売り企業、土地持ち企業に対して、M&Aが起こる可能性があります。11月末に三井不動産が東京ドームのTOB(株式公開買い付け)を表明しましたが、都市圏に簿価が低い一等地の不動産を保有する企業の株に注目していくつもりです」(かぶ1000さん)

5:株高による資産インフレが進む

「カネ余りや低金利が続いていますが、新型コロナによる景気低迷で、企業は設備投資にお金を回しにくい状況です。そうなると、余ったお金はこれまで以上に、株などの金融資産に流れ込み続ける可能性が高いと思っています。2021年は株高の恩恵で資産インフレが進み、個人消費の拡大が進むことで、企業業績が向上する好循環に期待しています。高級ブランドなど高額品の売り上げ動向や、不動産価格、美術品、ワインなど嗜好(しこう)品の価格に注目していきたいです」(かぶ1000さん)

常識を疑う!格差解消には投資手法のアップデートが必要

 割安株投資を得意としているためか、今年の株の戦績は珍しく3%強のマイナスになっているというかぶ1000さん。「株価が大きく下落したおかげで良品計画、ダイセキ、エイジスなど普段、買えないような銘柄に投資できて、大きな利益を出すことができましたが、自分の得意な割安株投資の手法をよりアップデートしたり、洗練していけるかが今後の課題です」と振り返る。

 確かに2020年は新型コロナウイルス感染症によって、生活、仕事、投資の面で劇的な変化が生まれた1年になった。

「引き続き2021年も格差がより広がると思います。これまで常識的だったこと、横並びだったものが、価値観も含めて大きく変わる状況が世界中で起こるでしょう。これまでの悪しき習慣が是正されて効率化が進むことで、企業業績が上がったり、新たな市場が開拓されたり、特に日本においては本当の意味でのIT化が進む可能性が出てくる一方、格差で淘汰(とうた)された人々など弱者保護も大切です。株式投資の面でも企業や市場の変化や業種間格差などに、より敏感でいる必要があると思います」(かぶ1000さん)

かぶ1000さんProfile

 累積利益4億円という輝かしい戦績が惜しげもなく公開された人気ブログ『かぶ1000投資日記』を運営。企業の決算書や会計書を丹念に読み込み、現預金や有価証券、売掛金といった流動性資産から、借金や貸し倒れ引当金などの流動性負債を引いた「正味流動純資産」に対して株価が6割程度まで売り込まれた究極の割安株投資で大成功している。2021年1月には初の著書を刊行予定
Twitterアカウント かぶ1000 @kabu1000

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人気ブロガー・かぶ1000さんインタビュー前編
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