カネ余りで資産インフレが加速!特に不動産株に注目

 中学2年から株式投資を始め、2019年には累計利益が4億円を突破したかぶ1000さん。時価総額に比べて、正味の流動純資産が著しく多い「ネットネット株」や豊富な不動産含み益を持つ「資産バリュー株」など割安株投資のスペシャリストだ。専業投資家歴32年目を迎える大ベテランのかぶ1000さんが展望する2021年とは?

2021年はこうなる! 5大予測
1 あらゆる分野で格差が拡大
2 不動産、施設、物流倉庫、住宅の大型化
3 さらなるカネ余りの拡大
4 中小不動産の集約化
5 株高による資産インフレが進む

1:あらゆる分野で格差が拡大

「今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、業種によって受ける影響に非常に大きな差が出ており、観光、鉄道、外食産業などでは企業努力ではどうにもならないレベルに達している面があります。2021年も企業の業績や株価において業種間格差、企業間格差がさらに顕著になる年になりそう。生き残る企業、生き残れない企業がはっきり見えてくる1年といえます。新型コロナやそれによって変化した社会の在り方に対する各企業の対策や方針、戦略がきちんと明確にされているかを確認してから投資する必要があると強く感じています」(かぶ1000さん)

2:不動産、施設、物流倉庫、住宅の大型化

「新型コロナによって、世の中では、換気や密を避ける意味でのソーシャルディスタンス、テレワークという新しい生活様式が急速に普及しました。そうした変化に起因して、不動産市場の分野ではビルや施設の大型化が進むように思います。個人の住宅も在宅勤務が当たり前になったことで、より活動しやすく快適性の高い大きな家が求められるようになるでしょう。中小の雑居ビルや狭小マンションの価値が下がる可能性がある一方、逆に一等地の大型ビルや広い住宅への需要は高まると思います。Eコマースの拡大で物流施設の大型化も進みそうです。そのため、2021年は例年以上に不動産、物流施設の動向を注意深く見ていこうと決めています。日本の中のどの地区の人口が増加しているのかも注目材料になるでしょう」(かぶ1000さん)

3:さらなるカネ余りの拡大

「政府や日本銀行が大規模な金融緩和を進める中、カネ余りがさらに加速するでしょう。カネ余りが進むことで2021年も株高や不動産価格の上昇が続くと思います。こうしたリスク資産の価格トレンドは、債券の価格次第の面もありますが、債券の利回りが大きく上がらない限り、株高、土地高の流れは続くと予想しています。そういう意味で、2021年は金利の動向に特に注目したいです。また仮想通貨や金など、株以外のところにもお金が流れ続けるかどうか、にも興味を持っています。株式市場では株価が下落したままの銘柄も多いだけに、大型M&A(企業の買収・合併)の動きにも注目していきたいですね」(かぶ1000さん)

4:中小不動産の集約化         

「歴史的な低金利とカネ余りが進む中、新型コロナの影響で築年数が経過した中小の雑居ビルの空室が目立つようになりました。これまで不動産の権利関係が複雑すぎて、再開発が難しかった繁華街エリアでも、これを機に全国で一気に再開発が進捗する可能性があると思います。不動産株はもちろんですが、事業の一部で不動産賃貸をしている企業、自社店舗を持つ小売り企業、土地持ち企業に対して、M&Aが起こる可能性があります。11月末に三井不動産が東京ドームのTOB(株式公開買い付け)を表明しましたが、都市圏に簿価が低い一等地の不動産を保有する企業の株に注目していくつもりです」(かぶ1000さん)

5:株高による資産インフレが進む

「カネ余りや低金利が続いていますが、新型コロナによる景気低迷で、企業は設備投資にお金を回しにくい状況です。そうなると、余ったお金はこれまで以上に、株などの金融資産に流れ込み続ける可能性が高いと思っています。2021年は株高の恩恵で資産インフレが進み、個人消費の拡大が進むことで、企業業績が向上する好循環に期待しています。高級ブランドなど高額品の売り上げ動向や、不動産価格、美術品、ワインなど嗜好(しこう)品の価格に注目していきたいです」(かぶ1000さん)

常識を疑う!格差解消には投資手法のアップデートが必要

 割安株投資を得意としているためか、今年の株の戦績は珍しく3%強のマイナスになっているというかぶ1000さん。「株価が大きく下落したおかげで良品計画、ダイセキ、エイジスなど普段、買えないような銘柄に投資できて、大きな利益を出すことができましたが、自分の得意な割安株投資の手法をよりアップデートしたり、洗練していけるかが今後の課題です」と振り返る。

 確かに2020年は新型コロナウイルス感染症によって、生活、仕事、投資の面で劇的な変化が生まれた1年になった。

「引き続き2021年も格差がより広がると思います。これまで常識的だったこと、横並びだったものが、価値観も含めて大きく変わる状況が世界中で起こるでしょう。これまでの悪しき習慣が是正されて効率化が進むことで、企業業績が上がったり、新たな市場が開拓されたり、特に日本においては本当の意味でのIT化が進む可能性が出てくる一方、格差で淘汰(とうた)された人々など弱者保護も大切です。株式投資の面でも企業や市場の変化や業種間格差などに、より敏感でいる必要があると思います」(かぶ1000さん)

かぶ1000さんProfile

 累積利益4億円という輝かしい戦績が惜しげもなく公開された人気ブログ『かぶ1000投資日記』を運営。企業の決算書や会計書を丹念に読み込み、現預金や有価証券、売掛金といった流動性資産から、借金や貸し倒れ引当金などの流動性負債を引いた「正味流動純資産」に対して株価が6割程度まで売り込まれた究極の割安株投資で大成功している。2021年1月には初の著書を刊行予定
Twitterアカウント かぶ1000 @kabu1000

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