中国政府の動向に気を配ることも大事

「分散投資で安定運用し、リスクを避けていたら、失敗はしなくても、1億円は突破できない。分散投資&安定運用で1億円を超えるとしたら、相当資金があるか、時間を使うかのどちらか。普通のサラリーマンには不可能です。だったらリスクを承知で、中国株でいこう、と思いました」とよしぞうさん。穏やかな口調に優しい笑顔、堅実に見えるよしぞうさんだが、ここぞというところで大勝負できる胆力を感じました。奥さまの意見を尊重し、反対されたら止める、という愛妻家な面も素敵でした。

──ということは今現在、保有しているのは米国株のアマゾンと…。

 中国株のテンセントです。ほかの中国株は売却しました。

──テンセントはずっと保有し続けているんですね。

 実はテンセントも一度、売却したんです。リーマン・ショック後に購入したときの何十倍にも高騰して大きく稼がせてもらったわけですが、2018年にガクッと株価が落ちたんです。しかも、中国本土から聞き捨てならないニュースが流れてきました。それで、ここはいったん手を引くべきかなと。

──聞き捨てならないニュースとはどんなニュースですか?

 中国政府がゲーム規制を打ち出したんです。当面、新規ゲームの許可を出さないと。テンセントはソーシャル・ネットワーク・サービス事業で大きくなった会社ですが、ここ数年はゲーム事業が主力です。スマホゲームやパソコンゲームの課金が収益の柱になっているわけです。とすると、新作ゲームをリリースできないというのはかなりの痛手になります。致命傷とまではいかなくても、大きなダメージを受ける。それで、さらに株価が下落する可能性が高いと判断し、売却を決意しました。

──でも、また買い戻したわけですね。

 はい、その後また政府の方針が変わったんです。それにテンセントという会社はまだまだ成長するという思いがありました。アマゾンは次の成長の種が育っているから購入した、と話しましたが、テンセントも同様で、フィンテック事業が育ちつつあります。だから、もうしばらく保有しておきたかった。

──たぶん売却したときにはかなりの税金を払ったと思います。それを考えると売らないほうがよかったのでは?

 はい。ただ、あの状況ではやむを得なかったとも思っています。売るという選択以外、考えられなかった。だから、よけいな税金を払うハメになったとはいえ、後悔はしていません。

──お話を伺っていると、中国市場の特異性を感じますね。中国政府の意向や方針によって企業活動に制限がかかるようなことも起こるわけですよね。となると投資する側もなんらかの対応が必要では?

 はい。そこは中国株投資の難しいところです。ある程度政府の動きに気を配るとか、そういう対応は必要でしょう。

──よしぞうさんご自身も中国政府の動向を気にかけている?

 もちろんです。今なら米中貿易摩擦の動きとか気になりますし。

──そういえばブログでも米中合意のこととか詳しく書かれていました。

 特に中国IT系のニュースについては強いと思うので自分でニュースを追うのが面倒という人は僕のブログを読んでみてください(笑)。多少は参考になると思います。

──今日はとても勉強になりました。最後にこの記事を読んで中国株に興味を持ったという人にオススメの銘柄を挙げていただけますか?

 まずはやはりアリババとテンセントでしょう。中国株に詳しい人に聞いたら、たぶん全員がこの2銘柄を挙げると思います。このうちどちらが有望かは難しいですね。僕はテンセントしか保有していませんが、いずれアリババも買うかもしれません。

──IT業界以外ではどうですか。

 中国第2位の保険会社である「中国平安保険」は面白いかもしれません。中国でも高齢化が進んでいるので、保険の需要はまだまだ高まりそうですし、それにこの会社は政府と組んでスマートシティの開発に乗り出すなど、ほかの分野にも積極的に進出しています。それらが軌道に乗ったら、大化けする可能性があります。あと、僕も以前、保有していた「恒安国際」も有望です。P&Gや花王のような生活日用品の、中国最大手で、業績が抜群に安定しています。高齢化社会の進展で、紙おむつなどの需要も拡大するはずですから、将来性も高いといえるでしょう。

──怖がらずに探せば、中国株には興味深い銘柄がまだまだありそうですね。どうもありがとうございました。

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