国内商品先物の価格の変動要因は大きく3つに分けられます。(1)海外市場の動向、(2)ドル円、(3)国内市場の独自材料です。

 今回、注目するのは(1)。金や原油、とうもろこしなどは海外の先物市場で活発に取引されている“国際商品”です。このため国内商品先物市場におけるこれらの銘柄の値動きには海外市場の動向が深く関わっています。海外市場の代表格と言えば世界最大規模の“米国の先物市場”です。

 そこで、米国の先物市場を見る上で重要な「投機筋の動向」について見ていきましょう。投機筋の動向を見る際は、投機筋の買い建玉の枚数から売り建玉の枚数を差し引いた“買い越し高”に着目します。

 以下は米国の金先物市場の価格動向と、その金先物市場で取引をしている投機筋の買い越し高の推移です。

図:米国の金の先物市場の価格動向(右軸)と、同市場で取引をしている投機筋の買い越し高(左軸)の推移

出所:CME、CFTCのデータをもとに筆者作成

 2016年1月ごろ、投機筋の買い越し高の値がマイナスになっていますが、これは買い建て玉の枚数よりも売り建玉の枚数が多いことを示しています。

 2つは同じような動きをしていることがわかりますが、細かく見ると金価格のほうが若干早く動いているように見えます。

 これは、投機筋が価格の動きに追随しながら機動的に動いているためだと考えられます。投機筋は短期的な金価格のトレンドの転換に乗じ、ポジションを取っていると見られます(価格が上昇トレンドに転換すれば投機筋は買い越し幅を拡大、価格が下落に転換すれば買い越し幅を縮小)。

 投機筋が機動的に転換後のトレンドと同じ方向にポジションを取ることは、価格の振幅の短期的な拡大要因になると考えられます。

 このように、海外の先物市場における値動きと投機筋の動きは密接に関わっているのです。

 海外市場の代表格である米国の商品先物市場の投機筋の動向については、米国のCFTC(商品先物取引委員会:Commodity Futures Trading Commission)が、毎週火曜の取引終了時点の内容をその週の金曜日(日本時間の土曜未明)に公表しています。

 その内容は、楽天証券の商品先物専用取引ツールである「マーケットスピードCX」の「ニュース」の欄で確認できます。

図:楽天証券の商品先物専用ツール「マーケットスピードCX」の「ニュース」画面

出所:マーケットスピードCXの画面より抜粋

 上図は、「マーケットスピードCX」の「かんたんモード」で、「情報」欄の「ニュース」より、「貴金属」を選択し、「ファンダメンタルズ一覧(金・銀)」をダブルクリックした後のものです。

 画面下部に表示されたニュース本文の中ほどに、「米CFTC建玉明細報告の大口投機家」という箇所があり、その中のNY金の欄を参照します。上図は前週に比べて買い越し高が8,739枚減少した例です(前週の21万2,594枚から20万3,855枚に減少)。

 原油やとうもろこしについても、マーケットスピードCXにて金と同様に米国の先物市場の投機筋の動向を確認することができます。原油の場合は「エネルギー」、とうもろこしの場合は「穀物」を選択の上、「ファンダメンタルズ一覧」をダブルクリックします。

 

 ぜひ、海外の投機筋の動きをチェックして、世界のコモディティ市場の大局をつかんでみましょう。