新型コロナ・ワクチン(以下、ワクチン)の接種が早ければ12月に始まります。先行開発3社だけで2021年中に30億回分の生産が可能とも伝えられます。ワクチン開発によって世界では、経済の先行きに明るさが増し、より広範なリスクオン相場が期待されます。

 その一方で、リスクオン環境でドル安が進むあおりで、円高が日本の経済と株価を圧迫するリスクを警戒してもいます。筆者の2021年末のドル/円の予想水準は引き続き95円。これが実現する可能性、その影響、そして投資対応を考えます。

明るいワクチン相場への期待

 ワクチンの有効性が相次いで公表され、接種も早く進むことで、世界経済の正常化も順当に進む公算です。ただし、広くワクチン接種が行われるには1年以上、経済の正常化にも2~3年を要するでしょう。その間、主要中央銀行は金融緩和を継続すると予想されます。この金融相場に、経済正常化へのワクチン相場が重なる好地合いが株式市場には見込まれます。

 2020年の株式相場は、コロナ禍対応の超金融緩和を背景に、グロース株が片翼エンジン全開で急伸しました。経済の正常化へ前進する2021年は、割安にとどまっていたバリュー株や景気株というエンジンも稼働し、両翼そろってのバランス飛行になると想定します。今後2カ月ほどはその移行期で、グロース株エンジンの出力ダウンと、バリュー株・景気株アップの調整があっても、目線を上に保ってよいでしょう。投資の資産と時間の配分を考えて、上昇相場の新ステージへ備える場面です。