NYダウは前週末比で大幅下落

 次にチェックするのは米国株です。先週のNYダウ平均株価は前週末比で6.4%安の大幅な下落となりましたが、日経平均の下落(2.2%安)も米国株の下落に引っ張られた格好です。

 こうした米国株を中心とする警戒感は、大詰めを迎える米大統領選挙や欧米でのコロナウイルス感染再拡大を前にして、市場が慎重になりつつあるムードが反映されている面があります。

「報道ベースでみれば、バイデン候補が勝利するだろうが、11月3日の投開票後も一波乱あるかもしれない」、「春先のコロナ感染流行からの経済の持ち直し傾向は続くだろうが、最近の感染再拡大によってシナリオ修正に迫られるかもしれない」といったように、「だろう」運転から「かもしれない」運転の色合いが濃くなったことで、ポジションの整理が増えた印象です。

 下の図2を見ると、足元のNYダウは200日移動平均線のところで踏みとどまっているように見えます。

■(図2)米NYダウ(日足)とMACD(2020年10月30日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウにおける200日移動平均線は、いわゆる「ダブル・トップ」形成のネックライン、そして6月上旬の「アイランドリバーサル」時の抵抗線として意識されている面があり、この200日移動平均を下抜けしてしまうか、それともサポートにできるかによって、今後の展開に大きな意味を持つと思われます。足元のNYダウは「米大統領選を前に200日移動平均線あたりで様子を見ている」状況にあると考えることができます。

 本格的な政治混乱やウイルス感染が実体経済への深刻な影響を与えるなど、警戒感が現実的な不安に発展しない限りは、株価水準やテクニカル分析の節目で買いが入ってくるかと思われますが、すでにMACDがシグナルを下抜け、0ドルラインも割り込んでいるため、200日移動平均線の攻防に敗れた際には下げが加速してしまう展開もあり得るため、注意が必要です。