日経平均2万3,000円割れ。チャートの形は悪化、上値メドは切り下がる

 先週末10月30日(金)の日経平均終値は2万2,977円となり、節目の2万3,000円台を下回って取引を終えました。前週末終値(2万3,516円)からは539円安、週足ベースでも再び下落に転じています。

 11月相場入りとなる今週は、いよいよ米大統領選挙の投開票日を迎えます。米国では大統領選以外にも、FOMC(米連邦公開市場委員会)や10月雇用統計の発表なども控えており、市場のムードが米国の動向に振り回されやすくなる中、引き続き国内企業決算を手掛かりとする個別物色が支えとなるかが焦点になります。

 まずは、2万3,000円割れとなった日経平均について考えてみたいと思います。

■(図1)日経平均(日足)の動き (2020年10月30日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の日経平均は週を通じて下落基調が続き、先週末から5営業日続落となりました。

 移動平均線との絡みでは、25日移動平均線の攻防から下放れし、そして週末30日(金)の大陰線によって一気に75日移動平均線も下抜けてしまいました。さらに、この日の安値(2万2,948円)は直近安値(10月2日の2万2,951円)を下回っている他、「上昇ウェッジ」もほぼ完全に崩れているなど、日足チャートの形はかなり悪化しています。

 普通に考えれば、株価の下方向への意識を強めており、さらなる下落に注意となるのですが、実は、「月末あたりに日経平均が大きく下落し、翌月の相場展開が警戒されるものの、いざ始まってみたら反発」という展開が7月・8月・9月と続いており、過去の値動きを振り返ると、反発していく展開も想定しておく必要があります。

 ただし、上昇ウェッジが崩れてしまったため、上値のメドは切り下がっていきます。直近高値を結んだライン(1)、6月8日と8月14日を結んだライン(2)が目先の戻りメドになりそうです。

 ちなみに、今週の企業決算ですが、以下のような発表スケジュールとなっています。

2日(月):62銘柄……NTTデータ、オリックス、ヤマハ、CTC、京王 など
4日(水):104銘柄……ソフトバンク、伊藤忠、SUBARU、味の素、サントリーBF、丸紅 など
5日(木):199銘柄……任天堂、ダイキン、三菱商、テルモ、エーザイ、クボタ、スズキ など
6日(金):365銘柄……トヨタ、NTT、ホンダ、ユニ・チャーム、バンナムHD、キリンHD など

 実際に、先週末の30日(金)は日経平均が大きく下落する一方で、アドバンテストやパナソニック、ファナックなどが決算を材料に大幅上昇を見せています。今週も、株価指数の値動きが不安定な中で銘柄の選別が進んでいく週になりそうです。

NYダウは前週末比で大幅下落

 次にチェックするのは米国株です。先週のNYダウ平均株価は前週末比で6.4%安の大幅な下落となりましたが、日経平均の下落(2.2%安)も米国株の下落に引っ張られた格好です。

 こうした米国株を中心とする警戒感は、大詰めを迎える米大統領選挙や欧米でのコロナウイルス感染再拡大を前にして、市場が慎重になりつつあるムードが反映されている面があります。

「報道ベースでみれば、バイデン候補が勝利するだろうが、11月3日の投開票後も一波乱あるかもしれない」、「春先のコロナ感染流行からの経済の持ち直し傾向は続くだろうが、最近の感染再拡大によってシナリオ修正に迫られるかもしれない」といったように、「だろう」運転から「かもしれない」運転の色合いが濃くなったことで、ポジションの整理が増えた印象です。

 下の図2を見ると、足元のNYダウは200日移動平均線のところで踏みとどまっているように見えます。

■(図2)米NYダウ(日足)とMACD(2020年10月30日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウにおける200日移動平均線は、いわゆる「ダブル・トップ」形成のネックライン、そして6月上旬の「アイランドリバーサル」時の抵抗線として意識されている面があり、この200日移動平均を下抜けしてしまうか、それともサポートにできるかによって、今後の展開に大きな意味を持つと思われます。足元のNYダウは「米大統領選を前に200日移動平均線あたりで様子を見ている」状況にあると考えることができます。

 本格的な政治混乱やウイルス感染が実体経済への深刻な影響を与えるなど、警戒感が現実的な不安に発展しない限りは、株価水準やテクニカル分析の節目で買いが入ってくるかと思われますが、すでにMACDがシグナルを下抜け、0ドルラインも割り込んでいるため、200日移動平均線の攻防に敗れた際には下げが加速してしまう展開もあり得るため、注意が必要です。

TOPIX週足チャートは弱めの状況、上値が抑制されやすい

 最後に、日本株の週足チャートも見ていきます。今回は決算シーズンですので、TOPIX(東証株価指数)でチェックします。

■(図3)TOPIX(週足)とMACD(2020年10月30日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 週足のTOPIXチャートでのポイントは3つあります。

 まずは、上値抵抗ラインです。2018年1月下旬を起点として、戻り高値である2019年10月と2020年2月を結んだラインです。TOPIXが中期的に上昇基調を強めるにはこの2本の線を上抜けていく必要があります。

 次は移動平均線との絡みです。先週の大きな陰線によって、13週・26週・52週の3本の移動平均線を下抜けしつつある状況です。2本もしくは3本の移動平均線を一気に下抜ける形は、抜けた方向へ株価が向かいやすくなるため、注意が必要です。

 そして、3つめは下段のMACDです。こちらも先週末にMACDがシグナルを微妙に下抜けしており、トレンドの転換が意識される状況です。

 したがって、週足チャート全体では弱めの状況と言えるため、今週に株価が反発したとしても、上値が抑制されやすく、短期的にとどまる可能性が高いため、深追いには気をつけておいた方が良いかもしれません。