本選挙(11月3日)に向け不確実性を増すワシントン情勢
米国の大統領選挙では連邦議会選挙も同時に実施され、下院議会の全議席(435議席)と上院議会の約3分の1(今回は35議席)が改選されます。
大統領府と議会の勢力図(議席の過半を民主党が占めるか共和党が占めるのか)の組み合わせで、米国の政治や財政政策の方向性を想定。(断言はできませんが)米国株式の動向を予見することができます。
図表2で、選挙結果のシナリオ別に米国株式の反応を予想してみました。全米世論調査平均(Real Clear Politics)の最新予想は、シナリオA(大統領府も両院議会の過半も民主党勝利=ブルーウェーブ)を見込んでいます。
この場合、市場は「景気浮揚と格差是正のため最大総額で約10兆ドルの歳出が実施される」と期待して株式が堅調となる可能性があります。
ただ、民主党は「財源」として高額所得者・富裕層増税を公約にしており、2021年後半に増税実施が視野に入る時期でいったん売られる可能性も。大統領府、下院・上院の過半を民主党と共和党が分け合うと、「ねじれ政治」で歳出拡大も増税も簡単には決定できません。
「市場は大きな政府を求めない」と想定し、新年の株式には堅調要因となりそうです。
<図表2>大統領選挙を巡るメインシナリオは「混迷」?
市場が「最悪ケース」として警戒しているシナリオが「E」です。コロナ禍の選挙で、有権者の5割超(約8,000万人)が郵便投票を行うと報道されており、投票手続きと開票作業に混乱が見込まれています。
開票状況が接戦となれば、両陣営から異議が申し立てられる事態となり、訴訟合戦に発展し「しばらく当落が決まらない」との見方が強まっています。
日程的な目途としては、12月14日の選挙人投票(総計538票)、1月3日に召集される新しい下院議会などが注目されますが、最後は司法判断(最高裁判断)に委ねられるとの見方もあります。
「民主主義大国が初めて経験する分断」とも憂慮され、株式市場も困惑する可能性があります。
とはいえ、新年1月20日(大統領就任式)までに当選者が決定し「暗雲」が晴れれば、株式の市場の反転要因となるでしょう。
結果的に直近の支持率・市場予想に沿った「バイデン当選」で終わるなら、業種別にはクリーン(再生可能)エネルギー、ヘルスケアサービス、土木などインフラ関連株が買われ、石油・ガス(炭素排出型エネルギー関連)、シェール関連、防衛関連株が相対的に売られるとの見方が有力です。