米大統領選の投票日以降の先行きに不透明感
今回の改定で、日米欧の中では米国の改定幅が最も大きな修正幅となっています。つまり、6月時点では▲8.0%の予測でしたが、今回の予測では▲4.3%と3.7%上方修正となっています。しかし、これは11月3日の大統領選挙が無難に終わるということが、もちろん前提になっていると思われます。
もし、バイデン辛勝で法廷闘争にもつれ込んだ場合、12月14日の選挙人投票、場合によっては1月20日の大統領就任日まで混乱が続くことも予想されます。そしてその間、米国の分断がより深まり、デモや暴動など社会情勢が混乱している可能性も考えられます。その場合、株式市場にとってはマイナス要因であり、経済の足かせとなることが予想され、IMFの見通し通りにはいかない可能性が出てきます。同じような事態はバイデン氏圧勝でも起こるかもしれません。
ハッサク(筆者)は、これまで9回の米大統領選挙を為替市場で経験していますが、今回ほど投票日以降の先行きに不透明感を抱く選挙は初めてです。
IMFは、世界経済は2020年のマイナス幅が縮小し、2021年はプラス成長と予測していますが、米国の社会混乱が長引き、また、ワクチンの普及も遅れるとなると、世界経済にも影響を与え、プラス成長の伸びが鈍くなることが予想されます。やはり、現時点では手放しで喜べる予測ではありません。