完全子会社化を目指すTOBは株価上昇に繋がる場合が多い

 例えば、すでにNTTはドコモの株式を約64%保有する大株主なのですが、今回のTOBによって、保有比率100%の完全子会社化を目指しています。TOBの条件も1株当たり3,900円となっており、基準となる9月28日の終値(2,775円)と比べると、40.5%というかなりの上乗せ金額です。

 実際にドコモのチャートを見ると、株価はTOBが発表されて以降、TOB価格の3,900円水準までストップ高を挟んで上昇し、その後はほぼ横ばいでの推移が続いています。

(図1)NTTドコモ(東1:9437)の日足チャート

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 このように、完全子会社化を目指すTOBは全ての株式を買い取って、上場廃止が前提となるため、多くの場合は株価もTOB価格に合わせて上昇していきます。

 TOB発表前からドコモ株を保有していた投資家にとっては、思わぬキャピタルゲイン(売却益)を得ることになったのかもしれませんが、ドコモ株を長期保有することでインカムゲイン(配当金による利益)を期待していた投資家にとっては、代替となる高配当銘柄を探す必要があるなど、少し残念だったのかもしれません。