米国も金融緩和継続。円安は輸出企業に追い風
米国の金融政策も異例の状況が続きます。FRB(米連邦準備制度理事会)は、9月16日にゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで続ける方針を表明しました。
これにより、短期金利上昇を抑えこみ、長期的なコミットをすることで長期金利の急騰を防ぐことが期待できます。
コミットしない場合に比べて、「政策変更があるのではないか?」という市場の疑心暗鬼を和らげることができれば、金利のボラティリティを小さくする効果もあります。
金利が低位で安定すれば、企業の活動にも、株式投資にも望ましい環境を作ることができる、ということです。
米国の金融政策は日本と異なり、マイナス金利もイールドカーブ・コントロールも採用していません。過度に金利をコントロールしようとすると、市場機能を損なう恐れがありますし、政策変更が難しくなるといった、低すぎる金利の弊害もあります。
金利が低すぎて、金融機関の収益が損なわれると、貸出に消極的になりますし、金融機関の経営が不安定になって、景気や金融システムに悪影響を及ぼすというリバーサル・レートの問題が生じる恐れがあります。
FRBは、金利引き下げのメリット・デメリットを勘案して、今のところ、極端な金融政策には慎重のように見えます。
日米の国債金利に焦点を絞って、あえて簡単な比較をすると、10年物まで金利をコントロールして、それより長い年限の国債金利も上がりにくい日本と、金融政策でコントロールする金利の範囲を限定して、なるべく市場に任せる米国という構図があります。
やや長い目で見れば、経済の回復につれて、日米の金利差が再び広がる局面で円安になる可能性があり、日本の輸出企業にとっては追い風が吹くかもしれません。
日米とも金融緩和は継続しますし、米国は資産価格がハイペースで上昇する局面でも「バブルかどうかは弾けるまで分からない。バブル抑制のために金融政策を引き締めると、他部門への弊害が大きい。だから、資産価格上昇は気にせず、もし、バブルが崩壊したら、その対応に全力を注ぐ」という、いわゆるFED(連邦準備制度)ビューに沿った政策をとる傾向があります。
金融政策だけを考えれば、株高継続と言えそうです。