日米とも、中央銀行による大規模金融緩和は長期化の見通し

 米FRB(連邦準備制度理事会)は、9月16日、長期に低金利政策を維持する「フォワード・ガイダンス」を導入しました。完全雇用まで労働市場が回復、インフレ率が2%を達成し、さらに一時的に2%を超えていかない限り、ゼロ金利を解除しないと約束しました。少なくとも、2023年末まではゼロ金利が維持されるとの見通しを示しました。

 コロナが収束し、経済が回復しても、ゼロ金利は簡単には解除されないとFRBが確約した形となりました。

米長期金利(10年国債利回り)と政策金利(FF金利)推移:2004年1月~2020年9月(28日)

出所:ブルームバーグより作成

 FRBは、2016年から2018年にかけて、将来インフレが高進することに備えた「予防的引き締め」を行いました。ただし、それは今振り返れば、不適切な判断でした。米インフレ率は上昇せず、2019年以降は世界景気の悪化にともない長期金利が急落しました。インフレ「予防」と称して、FRBが2018年に4回も利上げを行ったのは、明らかに政策ミスでした。

 今回、FRBは2018年の政策ミスを反省し、予防目的では、金利を引き上げないと表明しました。実際にインフレが高まった後、ゼロ金利を解除すると宣言しました。これで、米国のゼロ金利政策は、長期化する見通しとなりました。

 9月17日には、日本銀行の金融政策決定会合の結果が発表されました。日銀も、大規模な金融政策を継続する方針です。株式市場に大きな影響を及ぼしている、年間12兆円を上限とする日本株ETF(上場投資信託)の買い付けも、当面継続する方針とされました。