裁定売り残高が拡大、投機筋の売り建てが積みあがる
裁定買い残高だけでなく、裁定売り残高の推移も同時に見る必要があります。詳しい説明は割愛しますが、裁定売り残の変化に、投機筋(主に外国人)の日経平均先物「売り建て」の変化が表れています。売り建てが増えると裁定売り残が増え、売り建てが減ると裁定売り残が減ります。
日経平均と裁定売り残の推移:2018年1月4日~2020年9月11日(裁定売り残は2020年9月4日まで)
2020年9月4日現在、裁定売り残高は、約1.7兆円まで積みあがっています。一時約2.6兆円あった時と比べると減ってはいますが、なお投機筋が、日本株に弱気で、日経平均先物の売り建てを積み上げていることが分かります。
注目すべきは、9月4日時点で裁定買い残高が5,530億円しかないのに、裁定売り残高が、約1.7兆円まで増えていることです。売り残が買い残より1兆円以上、大きくなっています。投機筋が、日本株に弱気を継続していると推測できます。
注目いただきたいのは、グラフの中の【1】【2】。ともに、日経平均が大きく上昇する中で、裁定売り残高が減少しています。ここでは、いわゆる「踏み上げ」が起こっています。
日経平均が下落すると予想して売り建てを積み上げていた投機筋(主に外国人)が、日経平均がどんどん上昇していくため、損失拡大を防ぐために、日経平均先物の買い戻しを迫られていることが分かります。
6月以降、裁定売り残高が、約1兆円減っていますが、これは、外国人投資家が6~7月に日経平均先物を約1兆円買い越しているのと符合します。
それでは、日経平均に、裁定買い残と売り残を両方つけた、以下のグラフを見てください。投機筋(主に外国人)は、今のところ日本株に弱気を継続しているようです。