裁定買い残は低水準、投機筋の先物買い建てはほとんど整理された状況
ここから先は、9月10日のレポートで解説した内容を再掲します。日経平均先物でトレーディングする際、裁定買い残高と、裁定売り残高の変化を見ておく必要があります。そこに投機筋の先物ポジションの変化が表れているからです。
詳しい説明は割愛しますが、裁定買い残の変化に、投機筋(主に外国人)の日経平均先物「買い建て」の変化が表れています。買い建てが増えると裁定買い残が増え、買い建てが減ると裁定買い残が減ります。
日経平均と裁定買い残の推移:2018年1月4日~2020年9月11日(裁定買い残は2020年9月4日まで)
上のグラフを見ていただくと分かる通り、裁定買い残高は、2018年初には3.4兆円もありました。この時は、「世界まるごと好景気」と言って良い状況でした。したがって、投機筋は世界景気敏感株である日本株に強気で、日経平均先物の買い建てを大量に保有していたことが分かります。
ところが、2018年10月以降、世界景気は悪化し、2020年に入ってからはコロナ危機でさらに急激に落ち込みました。投機筋は、日経平均先物を売って、買い建て玉をどんどん減らしていきました。その結果、裁定買い残高は、2020年には一時約2,000億円まで低下しました。
投機筋は、日経平均先物買い建てをほとんど整理してしまったことが分かります。ここまで減るのは、リーマン・ショックのあった2008年、チャイナ・ショックがあった2016年以来のことです。