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2017年に注目する成長テーマ カジノ関連は要警戒
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

2017年に注目する成長テーマ カジノ関連は要警戒

2016/12/21
・2017年は、AI、IoT、ビッグデータ分析、ロボットなどの技術を使い、良質なサービスを大量生産する企業が成長すると見ている。
・IR推進法成立で、カジノ関連株が注目されているが、カジノが実際に始まるのは2020年以降と考えられるので、一旦材料出尽くしとなりそう。日本でカジノが成功するとパチンコ・パチスロなど既存のギャンブル産業の売上を奪うと考えられるが、カジノ関連株のほとんどがパチンコ・パチスロ関連株でもあり要注意。
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今日のポイント

  1. 2017年は、AI、IoT、ビッグデータ分析、ロボットなどの技術を使い、良質なサービスを大量生産する企業が成長すると見ている。
  2. IR推進法成立で、カジノ関連株が注目されているが、カジノが実際に始まるのは2020年以降と考えられるので、一旦材料出尽くしとなりそう。日本でカジノが成功するとパチンコ・パチスロなど既存のギャンブル産業の売上を奪うと考えられるが、カジノ関連株のほとんどがパチンコ・パチスロ関連株でもあり要注意。

本レポートでコメントする銘柄

スタートトゥデイ(3092)、MonotaRO(3064)、オリエンタルランド(4661)、セコム(9735)、日本金銭機械(6418)、コナミHLDG(9766)、セガサミーHLDG(6460)

(1)日本株の成長テーマが増えてきた

日本株の投資環境が好転しています。11-12月は大型株中心の上昇となりましたが、来年には小型成長株からも株価を飛ばす銘柄が増えると予想しています。

下落相場から上昇相場に転換する初期は、大型株が上昇の中心となる傾向があります。大型株の上昇が一服してから小型株主導の相場に変わることが多かったと言えます。今回もそういう形になると考えています。

小型株上昇の原動力となる成長テーマはいろいろあります。経済が構造変化を起こすときに、新しい成長テーマがたくさん出ます。今が、そのタイミングと考えています。

20世紀と、21世紀では、世界経済の構造が大きく変わっています。20世紀は「モノ」の豊かさを求めて人類が努力した時代でした。「モノ」の大量生産に成功した企業が成長する時代でした。

21世紀に入り、「モノ」は一時的に不足してもすぐに大量生産されて供給過剰になる時代に変わりました。一方、21世紀に構造的に供給不足となっているものもあります。「サービス」です。人手をかけないと供給できない医療・介護・保育・防犯・警備・接客などの良質なサービスは、恒常的に不足しています。少子化が急速に進んだ日本では、この問題は深刻です。

良質なサービスは、モノのように、工場で大量生産することができません。供給を10倍にするために、人手を10倍かけないとならないサービス分野では、構造的に供給不足が起こります。供給が需要に追いついていないことから、サービス産業は、安定的に成長が続いています。

ところが、この分野では、なかなか上場企業が現れにくいのも事実です。供給を10倍にするために、人材を10倍投入しないとならないサービス業は、上場企業が手がけにくいのです。いまだに、サービス産業は、無数の中小企業によって構成されている状況です。

そこで、なんらかの仕組みを作って、良質なサービスの大量供給に成功した企業は、21世紀の成長企業となります。

ITサービスは、いずれも、サービスの大量生産に道をつけるものです。Eコマースは、リアル店舗を作るコストを省き、ネットを通じて、小売サービスの量産を可能にしたものです。ZOZOTOWNを経営するスタートトゥデイ、事業者向け通販を革新したMonotaROが、ネット販売の成長企業となっています。

オリエンタルランドは、東京ディズニーリゾートを通じて、付加価値の高いエンターテイメントの大量供給を実現して、安定成長企業となりました。1デーパスポートの料金は、過去20年の間に大きく上がりました。デフレ下でも料金引き上げができる強さがあります。

セコムは機械警備によって、警備サービスの大量供給に成功しました。今、ドローンの警備での活用や介護ロボットの開発に注力するなど、サービスの量産技術に磨きをかけようと努力しています。

2017年は、IT・ロボットなどの技術革新により「良質なサービス」を大量供給して成長する企業が多数出てくると思います。鍵となる技術は、以下のようなものと考えています。

  1. AI(人工知能:深層学習機能を使って人間が考えても出てこないようなソリューションを生み出す技術)
  2. IoT(モノのインターネット:すべてのモノに通信機能をつけインターネットにつなげ、相互制御する仕組み)
  3. ビッグデータ分析(無数のデータから法則性を見つけさまざまな問題解決に応用する技術)
  4. サービスロボット(介護・警備など従来は人手をかけないとできなかったサービスを提供するロボット)
  5. ITセキュリティ(ネット内の犯罪や情報漏れから防御するための技術、マイナンバー活用本格化を迎え喫緊の課題)
  6. フィンテック(ネットなど活用した新しい金融サービス)
  7. ドローン(小型ヘリで収集した情報をネットにつないで活用する仕組み)
  8. 自動運転・安全運転支援技術(センサーと人工知能を活用して自動車を無人運転する技術)

(2)カジノ関連株は要注意

さまざまな成長テーマがとりあげられて関連銘柄が上昇していますが、中には評価できないテーマもあります。私は、カジノ関連株は要注意と考えています。

国内でカジノを運営することに道を開くIR推進法(統合型リゾート整備推進法)が成立する見込みになってから、株式市場では、カジノ関連株を物色する動きが出ました。IR推進法は12月15日に国会の承認を受けて、成立しました。

私は、カジノ関連は一旦、材料出尽くしとなると考えています。それには3つの理由があります。

①実際に国内でカジノ運営が開始するのは2020年以降と考えられること

IR推進法の成立によって、カジノを含む統合リゾートを解禁する方針が決まっただけです。実際にカジノを建設するには、具体的に細かいルールを定める「IR実施法案」を成立させる必要があります。その検討はこれから始まります。どこに建設するか、カジノ依存症への対策をどうするかなど、まだ越えなければならないハードルは多数あります。実施法の成立後に建設を始めても、運営開始は2020年の東京オリンピックに間に合わない可能性が高いと考えられています。

②アジアでカジノが増え過ぎて競争が激化していること

2007年以降にマカオでカジノ産業が急成長したことを受けて、アジアでカジノの導入ブームが起こりました。日本でも、カジノ解禁の議論が盛り上がりました。その時、すぐにカジノを開始すれば、日本でも成功する可能性は高かったかもしれません。

ところが、日本では住民の反対が強く、IR推進法はなかなか成立まで進みませんでした。そうしているうちに、シンガポール・韓国・フィリピン・マレーシアなどアジア各国で次々とカジノが建設されていきました。その頃は、アジアのカジノは急成長しており、日本でも「カジノを解禁さえすれば、日本でも成長産業になる」という議論が支配的でした。

ところが、あまりにカジノが増え過ぎて過当競争となり、近年、カジノの成長は止まりました。マカオを始めとしてカジノ収入が減り始めているところが増えています。カジノ依存症の問題も起こっています。「日本でカジノを始めれば大成功する」というイメージを持てない状態に変わってきています。

③日本でカジノが始まるとパチンコ・パチスロ・公営ギャンブルと競合する可能性が高いこと

日本は、カジノこそ解禁されていませんが、既にギャンブル大国と言えます。パチンコ・パチスロ・公営ギャンブル(競馬・競輪・競艇など)・宝クジなどが巨大産業となっているからです(パチンコ・パチスロは広義のギャンブル産業に含まれるという前提で話を進めます)。

日本でカジノが始まり、もし大成功するならば、パチンコ・パチスロなどの既存のギャンブル産業の売上を奪っていくことになると思います。なぜならば、ギャンブル産業は、顧客の損失によって胴元(運営者)が利益をあげる仕組みになっているからです。

既にギャンブル大国の日本でカジノが大成功するためには、他のギャンブル産業の売上げを奪う必要があると思います。ギャンブルに対するニーズは決して無くなりませんが、増え続けることもないと考えられるからです。

パチンコ・パチスロは、依存症対策として射幸性に規制がかかっています。射幸性を高めると需要が増えることがわかっていますが、規制によって歯止めがかかっています。

カジノは、ファミリースペースでは、射幸性が過度に高いゲームは排除されるはずですが、VIPルームでは、かなり大きな賭けができるようになる可能性があります。パチンコ・パチスロの射幸性を制限したままで、カジノのVIPルームでそれを上回る射幸性を許容すれば、高い射幸性を望む顧客は、パチンコから離れ、カジノに向かうと考えられます。

カジノ関連株と言われる企業の多くは、パチンコ・パチスロ関連株でもあります。カジノがスタートすれば単純にカジノで儲かるというイメージで買われていますが、実際にカジノがスタートしたらパチンコ・パチスロ産業がダメージを受けることになりかねません。

カジノ関連株の代表的な銘柄に、日本金銭機械、コナミHD、セガサミーHDがあります。日本金銭機械は、海外のカジノで使われる貨幣処理機、硬貨計算機で一定のシェアを持っています。コナミHDは、日本企業として唯一ネバダ州のカジノマシン製造販売ライセンスを持っていて、カジノマシンを中心にグローバル展開しています。セガサミーHDは、韓国のパラダイスグループが進める韓国初の統合型リゾート施設「パラダイスシティ」(2017年開業予定)のプロジェクトに参加しています。

ただし、3社とも、国内のパチンコ・パチスロ向けに売上があり、パチンコ・パチスロ業界がカジノ開始で受ける影響が懸念されます。

パチンコ・パチスロ産業がダメージを受けないようにするには、日本版カジノのVIPルームで、射幸性を厳しく制限する規制を導入する必要があります。そうすると、日本のカジノは魅力ないという評判が、世界に広がってしまうでしょう。

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