外国人投資家もトレンドに反した空売りで大失敗している

実は、逆張りの空売りで失敗しているのは個人投資家だけではありません。外国人投資家も、トレンドを無視した逆張りの空売りで大きな損失を被っているのです。

今年に入ってからの例でいうと、日本マイクロニクス(6871)やミクシィ(2121)の空売りで外資系証券が数十億円規模の損失を被ったのではないか、とも言われています。

日本マイクロニクスやミクシィは制度信用銘柄ではないので個人投資家は原則として空売りができません。多少の誤解を恐れずに言えば、これらの銘柄は個人投資家の買いパワーが外資系証券の空売りを打ち負かした事例であるといえます。

繰り返しになりますが、これらの事実から分かるのは、空売りを逆張りで実行すると大きな損失につながりかねないということです。

資金に余力のある外国人投資家であれば、空売りの失敗で多少の損失が生じても平気ですが、資金に制約のある個人投資家は、下手をすれば致命傷になりかねません。大損したくなければ、逆張りの空売りは行うべきではありません。

空売りの実行・筆者ならここに注意する

ここで、筆者が空売りを実行するうえで注意しているポイントを簡単にまとめておきます。これは筆者なりの売買技術といってもよいかもしれません。

  1. 信用売り残高の多い銘柄、特に最近になって信用売り残高が急増している銘柄は避ける(信用売り残高の多い銘柄は踏み上げが起こりやすいため、それを事前に回避)
  2. 空売りを新規実行する際、トレンドに逆らった逆張りはしない(トレンドは主に25日移動平均線と株価の位置関係から判断)

具体的には、以下のようなタイミングで新規実行及び損切りを行います。

ア.25日移動平均線割れで空売り実行→25日移動平均線超えで損切り・決済

イ.天井からの下落で空売り実行→天井超えで損切り

ウ.二番天井からの下落で空売り実行→二番天井超えで損切り

上記のうち、最も多用するのはア.です。相場状況によってはウ.を使用することもありますが、イ.はあまり用いません。二番天井が確認できるまでは株価のトレンドが下向きになったと判断することができないためです。

無理せず少額資金で練習して売買技術の向上を

もちろん、空売りは信用取引ですからリスクが高いことは言うまでもありません。したがって、売買技術の向上を目的として空売りを行う場合は、「資金を少額にとどめる」、「値動きがあまり大きくない銘柄(発行済み株式数の多い大型株)を選ぶ」などといった点に注意するとよいでしょう。練習ですから、多少の損失を受け入れる余裕のある人は、あえてトレンドに逆らった空売りをしてみて、どのような結果になるかを身をもって経験してみるのも悪くないと思います。

リスクという観点からは空売りは現物買いや信用買いよりも難しいものです。逆に言えば、空売りで大損しないように立ち回ることができれば、株式投資全般で大損することはなくなるはずです。そして、空売りで大損しない立ち回りとは、まさにトレンドに応じた売買と適時の損切りに尽きるのです。

個人投資家が行うファンダメンタル分析は、得てして正確性が低く中途半端なものになりがちです。それなのにファンダメンタルのみで株式投資を実践しようとする個人投資家は大勢います。

少額でもよいですから一度ファンダメンタルを重視した空売りを実践して(できれば)失敗し、売買技術の重要性を肌で感じ取ることをお勧めします。