首相辞任の影響は限定的。米国株高を支えに景気敏感株に資金シフト

 安倍首相辞任の影響は経済政策において限定的と考えられます。次の首相には菅官房長官が優勢とみられていますが、誰になったとしても、当面の間政策の主眼は新型コロナウイルスへの対応であり、現状の政策運営が続くと見込まれます。

 短期的に海外投資家の反応などが警戒されますが、評価を高めてきた金融政策に関する変更は考えにくいことから、こちらも杞憂(きゆう)に終わりそうです。

 FRB議長講演を受けて、米国での長期にわたる低金利継続観測が強まっていることから、米国株は短期調整リスクも後退したとみられ、米国株高が主導する形で東京市場も堅調な展開が続きそうです。

 物色は、米国株高が支えとなるテクノロジー銘柄などが再度注目されますが、新型コロナ感染者数の落ち着き傾向を受けて、出遅れ感の残る内需関連株などにも見直しの余地が残ります。

 さらに、最悪となった第1四半期決算発表を通過して、今後の業績回復確度が高いであろう自動車関連株なども、幅広く注目されてくる可能性が高いでしょう。

 一方で、新型コロナ対策関連として人気化した中小型株などには利食い売りが優勢となる公算もあります。株価の高パフォーマンスが目立った情報通信株にも、今後は景気敏感株への資金シフトが想定されます。

 11月3日の米大統領選挙が接近していることで、今後は関連ニュースへの関心は高まりそうです。現状ではトランプ氏の盛り返しなども伝わっていますが、再度バイデン氏が優位に立ってくると、クリーンエネルギー関連銘柄などへの期待は高まりそうです。

 注意したいのは、足元でファイナンスを発表する銘柄が増えていることです。財務の立て直しなどを主眼に置く銘柄も多く、財務体質への関心はあらためて高めたいところです。