ソニー
1)楽天証券の2021年3月期業績予想を再度上方修正する
楽天証券は、ソニーのIRへの取材を踏まえて、前回(2020年8月7日付け楽天証券投資WEEKLY)の業績予想を再度上方修正します。今期2021年3月期の会社予想、売上高8兆3,000億円(前年比0.5%増)、営業利益6,200億円(同26.7%減)に対して、楽天証券の前回予想は売上高8兆4,000億円(同1.7%増)、営業利益6,700億円(同20.8%減)でしたが、これを売上高8兆6,000億円(同4.1%増)、営業利益7,200億円(同14.8%減)へ上方修正します。
また2022年3月期は、前回予想の売上高9兆円(同7.1%増)、営業利益7,800億円(同16.4%増)を、売上高9兆2,000億円(同7.0%増)、営業利益8,200億円(同13.9%増)へ上方修正します。
表5 ソニーの業績
表6 ソニーのセグメント別営業利益(四半期ベース)
表7 ソニーのセグメント別営業利益(通期ベース)
2)ゲーム&ネットワークサービス事業の大幅増益が予想される
2021年3月期、2022年3月期楽天証券予想を上方修正した理由は、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)事業の業績予想を上方修正したことによります。
会社側は、2021年3月期のG&NS事業を売上高2兆5,000億円(前年比26.4%増)、営業利益2,400億円(同0.7%増)と営業利益横ばいと予想しています。これに対して楽天証券の前回予想は、売上高2兆7,000億円(同36.5%増)、営業利益2,900億円(同21.6%増)でしたが、今回はこれを、売上高2兆8,000億円(同41.6%増)、営業利益3,400億円(同42.6%増)と予想します。
また来期2022年3月期は、前回の楽天証券予想は、売上高3兆円(同11.1%増)、営業利益3,600億円(同24.1%増)でしたが、今回は売上高3兆2,000億円(同14.3%増)、営業利益4,000億円(同17.6%増)と予想します。
上方修正の要因は、PS4用ソフトの好調が、今1Qだけでなく、今2Q以降も続くと予想されるためです。今1QのPS4用ソフト販売本数(追加コンテンツを除く)は、9,100万本(前年比82.7%増)でした。今2Q以降も前年を上回る販売が続くと思われます。そのため、今2Q、今3Qと高水準な営業利益が続く可能性があります。今3Q、今4Qは、PS5発売時の販促費がかかると予想されますが、今の状況が続けば、PS5への実需はかなり大きくなると思われるため、プロモーションコストが業績を圧迫する可能性は小さいと思われます。
収益力の高いソニー製ソフトについては、今1Qに「ザ・ラスト・オブ・アス・パートⅡ」の400万本販売に続き、今2Qは「ゴースト・オブ・ツシマ」240万本の販売がありました。次の注目点は、PS5発売時のソニー製ソフトがどのようなものになるかです。
また、PS5のハード販売台数は、前回予想は今期1,000万台、来期1,800万台としていましたが、今回は今期1,000万台、来期2,000万台とします。今期予想は据え置きましたが、これは生産能力に限りがあると思われるためであり、これ以上増産できる場合はその分売れると思われます。
ソニーの中期業績を予想する場合のポイントは、ゲーム以外にも、音楽ライブの配信、映画の早期配信、巣ごもり消費による高級テレビの販売増加などがありますが、それらは稿を改めて分析します。
グラフ7 ソニーのゲームサイクル:プレイステーションの販売台数
グラフ8 ソニーのゲームソフト販売本数
3)今後6~12か月間の目標株価を1万1,000円から1万2,000円に引き上げる
今後6~12カ月間の目標株価を、前回の1万1,000円から1万2,000円に引き上げます。楽天証券の2022年3月期予想EPS 500.2円に、今後の成長期待を考慮して想定PER20~25倍を当てはめました。引き続き投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄:任天堂(7974)、ソニー(6758)