価格推移:8月に入り、新型コロナ・ショックから続いた価格上昇は一服

 以下のとおり、新型コロナ・ショック後に起きた価格上昇は、8月に入り、ビットコイン、イーサリアム、ともに一服したように見えます。

図:ビットコインとイーサリアムの価格推移 単位:万円

出所:楽天ウォレットおよび、マーケットスピードⅡのデータをもとに筆者作成

 先述のとおり、ビットコインと高い連動性をともなって上昇してきた金相場が8月1週目に反落したため、市場では“無国籍通貨”への投資意欲が減退し、それが暗号資産にも波及したと考えられます。

 騰落率についての上記記述で述べたとおり、ここ3週間、主要株価指数などの景気連動型の銘柄の上昇が目立ちました。このため、金や暗号資産といった“無国籍通貨”への関心が薄らいだ可能性があります。

トピック:ビットコイン先物の取組高急増は、無国籍資産選好と、ビットコインのさらなる一般化を示唆

 8月は上昇一服となったビットコインでしたが、今後の動向を考える上で注目すべき変化が生じていました。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で売買されているビットコイン先物の取組高が、8月もさらに増加したのです。

図:CMEビットコイン先物の取組高 単位:枚

出所:CFTC(米商品先物取引委員会)のデータをもとに筆者作成

 新型コロナ・ショック後、CMEのビットコイン先物市場では、取組高が増加していました。取組高とは、未決済の建玉(たてぎょく)の数量のことで、その時の市場規模の大きさを示すバロメーターとも言えます。

 CMEという世界最大級の、公設のデリバティブ(金融派生商品)取引所で、取組高が増加しはじめたことは、いわゆる“交換業者”と呼ばれる業者での取引にはない、一定のルールで管理されたビットコインの取引を求める動きが強まっていることを示唆していると考えられます。この変化は、ビットコインが、徐々に、着実に、世界の金融市場で、1つのれっきとした金融商品として、本格的に、認知され始めたことを示唆しているのではないかと、筆者は考えています。

 なぜ世界は、ビットコインを本格的に認め始めたのでしょうか。それは、世界が新型コロナ・ショックを機に、本格的に、誰にもどこにも依存しない“無国籍資産”を求め始めたためだと筆者は考えます。

 新型コロナ・ショック後、世界でたくさんの不安が発生・拡大する中、どこかの国や企業に依存することが、かえってリスクを拡大させる、という考え方が広がった可能性があります。

 ここ数カ月間、ESG(財務状況に加えて、環境・社会問題や企業統治に対する取り組みを考慮して行われる投資)やSDGs(2015年9月の国連サミットにて、全会一致で採択された「持続可能な開発目標」のこと)などの、人類共通の課題を解決させようとする考え方がスピード感を持って浸透しはじめたことは、ある意味、“無国籍資産”を求める考え方に近いと言えます。

 コロナ禍が続けば“無国籍資産”を物色する動きはますます強まるとみられます。このような動きは、ビットコインや金相場を一定程度、下支えをする要因として作用すると、筆者は考えています。

 CMEのビットコイン先物の取組高の増加が続いているうちは、“無国籍資産”を物色する動きは継続し、ビットコイン価格は支えられやすく、同時に、1つの金融商品としての認知が拡大していくと考えられます。

※本コンテンツで参照している銘柄はすべて円建てです。

楽天ウォレットについて

 楽天ウォレットは、楽天グループの仮想通貨取引所です。 楽天ポイントを100ポイントからビットコイン、イーサリアム等の仮想通貨と交換することができます。 
 ビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュを含む3通貨を提供しており、楽天銀行口座をご利用のお客様は土日も含む24時間リアルタイムで入出金が可能です。 
 また、楽天ウォレットでは「楽天ウォレットPro」という証拠金の取引サービスも提供しています。 仮想通貨のボラティリティを活かして積極的にトレードしたい方はこちらもオススメです。 
楽天ウォレットProでは、ビットコイン以外にもイーサリアム、ビットコインキャッシュ、XRP、ライトコインを含む5通貨を供しています。 

楽天ウォレットをチェック

現在(*2020年8月)証拠金(レバレッジ)取引の建玉管理料無料キャンペーンを行っております。エントリー不要でご参加できますので、詳細は下記をご確認ください。

証拠金(レバレッジ)取引の建玉管理料無料キャンペーンをチェック!