本日の注目通貨

トルコリラ/円: 

 下のグラフをご覧ください。トルコ中銀は直近1年間で10回も利下げして、1年前に24.00%あった政策金利は、現在8.25%まで低下しています。実質金利はすでにマイナス状態。ということはトルコでは銀行利息よりもインフレ率の方が高いのです。

 トルコリラを安定させるには、最低でも9.00%以上の政策金利が必要だと指摘されています。トルコ中銀は年末のインフレ見通しを「上方修正」しているので、状況が今後さらに悪化すると予想できているはずですが、利上げする考えはないようです。もっとも、さらに金利を下げろと叫ぶエルドアン大統領に逆らってまで実施する勇気はないでしょう。

 利上げしなければリラ安が進み、リラ安が進むとインフレがさらに上昇する…トルコ中銀にできることはトルコリラを買い支えるしかないのですが、そのための資金も底を尽きかけています。

 トルコでも新型コロナによる経済ダメージで、利上げどころか、景気刺激策を行わなければならない状況。問題は、信用の低い通貨の国が利下げなどの低金利政策を積極的に行うと、投資マネーの流出を招き、パニックが増幅するリスクが高まることです。

 8月19日(水曜)のトルコリラ/円の安値は14.20円で、今月つけた過去最安値の14.18円にあとわずかに迫りましたが、その後14円台半ばまで戻しています。今夜の政策金利発表後も、動かない可能性も高いのですが、それはトルコリラの流動性が細っているせいもあります。トレードしても抜け出せないリスクが高いので、トレーダーが敬遠しているだけでトルコリラが安定しているわけではありません。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成