本日の注目通貨

トルコリラ/円:今週のレンジ予想 14.30円 から 14.75円 

 歴史的安値圏で推移するトルコリラ。8月10日にトルコリラは対円で14.18円まで急落して史上最安値を更新しました。その後は14.78円まで回復、13日の終値は14.53円。

 トルコリラは「高金利通貨」といわれますが、本当のところは実質金利がマイナス状態で、トルコは世界有数の低金利国なのです。銀行の利息よりも物価上昇の方が大きいので、銀行に預金してもお金が目減りするだけで、トルコの人たちは、自分たちのお金をトルコリラからドルにせっせと換えています。その金額は7月だけで30億ドル相当といわれています。

 トルコリラの政策金利は現在8.25%。インフレ率とバランスをとるためには最低でも9.5%以上に利上げする必要があるといわれます。しかし、トルコ中銀にその考えはないようです。利上げよりもインフレが下がることに賭けているようです。

 もっとも、エルドアン大統領の利下げプレッシャーが強くて金利を上げることなど怖くてできないのですが。トルコ中銀は、しかたなくステルス引き締め政策でトルコリラを支えているわけですが、問題の解決にはなっていません。このままで状況が改善すると考える投資家はいないでしょう。

 トルコリラ/円の急落は2018年、そして2019年にも発生しています。対米関係悪化などの理由もありましたが、同じ経済問題を当時からずっと引きずっています。そんなところに、今年は新型コロナでトルコ中銀も他の中央銀行に倣って緩和政策による景気刺激策を打ち出しました。

 しかし、信用力の低い通貨の国が、利下げなどの低金利政策を積極的に行うとどうなるか。投資マネーが逃げ出し、パニックが増幅するリスクが高まるのです。投資家がトルコリラのキャリートレードを好むのはスワップ(金利)を多く受け取れるから。仮にトルコリラの金利がドル金利まで下がったら、誰が投資するのか、ということです。

 トルコリラ/円が史上最安値14.18円をつけた日は10日の月曜日。2018年は8月10日と17日に暴落。来週17日の月曜日がそうなるとはいいませんが、注意はしたいです。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成