■投資資金を節約

 先ほどの「手持ち資金の約3倍の取引ができる」という信用取引のレバレッジを、別の言葉では「取引したい金額の約3分の1(厳密には30%)の手持ち資金で済む」と言い換えることができます。

 例えば、手持ち資金が300万円あるときに、買いたい株(銘柄)がちょうど300万円だったとします。取引手数料などを考慮しなければ、そのまま現物取引で買うことができますが、その時点で資金は0円になってしまいます。

 そこで、信用取引を活用すれば、300万円の株を90万円で買うことができます(取引金額300万円の30%)。そして、残った210万円で他の銘柄を買ったりするなど、投資の選択肢を増やすことができますし、損失の発生に備えて多少の現金の余裕を持つこともできます。投資資金の節約によって資金効率がグッと良くなるのです。

■保有株を有効活用

 さらに、信用取引では「現金がなくても保有している株券を元手に買う」ことが可能です。

 信用取引を行う際には「委託保証金」と呼ばれる資金が必要になりますが、この委託保証金は現金だけでなく、保有している株式や投資信託なども使えます。これを「代用有価証券」と言います。

 もちろん、代用有価証券は現金と全く同じ扱いというわけではなく、株式であればその評価額(株価×株数)の80%が基本になります。評価額100万円の株式を持っていれば、80万円が委託保証金として計算され、この80万円の約3倍のレバレッジの範囲内で信用取引を行うことができるわけです。

 もっとも、株価は変動するため評価額が日々変わりますし、取引の規制によって80%の掛目が変更されたり、代用有価証券として使えなくなるなどの注意点があります。また、代用有価証券として利用した株式は「貸株サービス」の対象外になることも気を付けておきたい点です。