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投資初心者のための初めての利益確定入門
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

投資初心者のための初めての利益確定入門

2013/2/14
・利益確定は常に難問である
・利益確定の基本的な考え方
・「売る」はおしまいでなく、次の「買う」の始まりである
・売りのタイミングをどう考えるか
・「全て売り!」の発想から卒業し「部分的に売る」
・「自動的に利益確定」は可能か
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利益確定は常に難問である

中長期での運用益獲得をねらう投資家にとって、昨今の上昇相場はありがたい含み益獲得機会となっているはずです。今までコツコツと割安時に資金投入してきた甲斐は報われますし、含み損から含み益に転じれば保有したままであっても精神的にもぐっとラクになります。

しかし利益確定となると投資家にとってはまた別の難問が生じます。「いつ売ればいいのか」「もしかしたらもっと上がるのではないか」「ゴールはまだ遠いのだが売ってもいいのだろうか」と悩みはつきないからです。

タイミング的にいえば、サブプライムローン問題やリーマンショック直前の相場で投資を始めた人、あるいはリーマンショック以降に投資をスタートさせた人の多くは、投資をしたものの塩漬け期間が長く、利益確定した経験があまりないのではないでしょうか。

上手に利益確定を行うことは、「なんとなく投資」から卒業するために欠かせないプロセスです。そこで、まだ利益確定としての売却をしたことのない個人投資家のための「初めての利益確定入門」を考えてみたいと思います。

利益確定の基本的な考え方

まず、利益確定にはやる気持ちを抑えて、基本的なルールを確認しておきましょう。

売り注文をだして約定すれば、あなたの保有していた有価証券を誰かが購入したということになります。この際、購入価格より高い値段で売却をできればその差が譲渡所得ということになります。利益確定の大原則です。

利益を得た際に生じた譲渡益は課税対象です。つまり売却によって得られた利益は全額手元に残るわけではなく、その一部は税金として納めます。現在は10%、2014年1月からは20%が譲渡所得の税率です。

また、売り注文を出し成立すれば、売買手数料が生じます。トレードの条件によって異なりますが(楽天証券の日本株式の売買手数料はこちら)、何らかの費用が生じることになります。

つまり、最終的な譲渡益は、税金と手数料を引いたものとなります。税金は一定率ですから売却益がゼロになることはありませんが、手数料が定額で生じますので売却益が小さい場合は、トータルでマイナスになってしまうかもしれませんので注意が必要です(正確にいえば、売却時の手数料のみでなく、購入時と売却時の売買手数料の合計を考える必要がある)。

まずは投資初心者のために基本中のキホンを整理してみました。

「売る」はおしまいでなく、次の「買う」の始まりである

こうした利益確定の基本ルールを踏まえ、投資初心者に考えてほしいことは「売ればおしまいではない」ということです。

もし、あなたの投資のゴールがもっと先にあったとすれば、今現金化して利益確定した資金について「売った後どうするか」を考えなくてはなりません。仮にあなたの資金ニーズが60歳時であって、今はまだ40代であれば、一度売ったとしても、その資金はまだ運用を継続しなければなりません。

売買手数料を払い納税もした後、売却時と同等の値段でまた買い直しをしたとすれば、そのトレードはほとんど意味がありません。むしろマイナスです。一度売った人は、投資の再エントリーについて考えなければならないわけです。できれば売却時が高値で売り抜け、再び買い直すときは安値であることが理想ですが、そうなるように検討と判断が求められます。

一方で、「売らないままほったらかし」も中長期投資としてはアリですが、なんでもほったらかしが誉められるわけではありません。どんな含み益も確定しなければまだ実現していないわけで、その後また値下がりすれば元の木阿弥になってしまうからです。中長期投資であっても、利益確定を実現させるかは問題であり、どのように実行していくかが問われます。

つまり、利益確定で売ってしまえば投資はおしまいではなく、「売るは、買うの始まり」でもあるわけです。

売りのタイミングをどう考えるか

売りのタイミングをどう考えるかは難しい問題です。まずあまり上策とは言えない方法は「購入時価格を上回ったかどうか」だけを基準とすることです。個人が投資をすれば誰でも損益ラインを考えますので、「購入時価格を上回った」あるいは「購入時価格+売買手数料相当分を上回った」かどうかが判断基準だと考えます。しかし、そこが投資初心者の落とし穴です。

「そもそも、その投資商品の価格は今、割安なのか割高なのか」あるいは「今後値上がり期待があるのか値下がりの可能性が高いのか」をひとつの基準とするべきです。この観点を持たないと、「今日売るのか」「もうちょっと粘って明日売るのか」の判断もつきませんし、塩漬けした商品を抱え込むことになります。

自分の購入時価格は、毎日値動きする市場にとって何の価値もありません。まだ上昇余地があるなら、含み益があっても急いで売る必要はありません。下落する可能性が高ければ含み損があろうと売ったほうがましです。自分の購入時価格がバイアス(偏り)となって、投資判断をくもらせない意識が求められます。

購入時価格を売買判断の基準としない、ということは、自分という小さな存在を超越して神の目線を持ってみるような気分に似ています。あるいは空を飛ぶ鳥の目のようなイメージです。投資においては、自分を離れて俯瞰した目線を持つ経験を積むといろいろ役立ちますので、ぜひチャレンジしてみてください。

しかし、なかなか神の領域にはたどりつけないという人も多いでしょう。割安か割高かの判断を指標等から導き出すのも初心者にはなかなか難問です。何か代わりの投資判断方法はないものでしょうか。

「全て売り!」の発想から卒業し「部分的に売る」

利益確定を考えるとき、一般的な個人投資家は「全て売り!」の発想をしていまいます。今あるリスク資産についてとにかく全部売りに出して利益を確保しようという考え方です。実はこれも利益確定としてあまりうまい方法ではありません。

この考え方の落とし穴は、「さらに値上がりしたとき」どうするか、という対策が出せないことです。とにかく現金化して利益は得たものの、また購入するところでつまづいてしまい、現金を寝かしてしまうことがよくあります。

そこで考えてみたいのは「部分的売り!」です。たとえば、100万円購入していた投資信託が85万円まで低迷したものの、今は120万円まで上昇しているとします。このとき120万円相当をすべて売るのではなく、当初購入した額との差分の20万円分のみ売却するようなイメージがこれにあたります。残りの100万円分はそのまま運用を継続し、将来値上がりしたらまた部分的売りを出していきます。

年金運用や機関投資家の場合「全部売り!」を出すことは絶対にありません。運用のゴールはまだ遠くにあるからです。当初保有計画を建てていた資産配分を上回ったリスク資産のウエートのみを「部分的売り!」としていきます。30%を日本株式に投資していたら、望外の値上がりにより保有割合が40%に高まったとします。この差分10%を売却し、その時点で値下がりしている資産を安値仕込みしていきます。

個人においても、ゴールがよほど眼前にない限りは「部分的売り!」の手法を活用したほうが効果的です。特に投資初心者ほど「全部売り」はオススメできません。確定拠出年金で資産運用をしている人などは特に、運用を60歳まで続ける前提で利益確定を考える必要があります。自分なりのリスク資産の保有割合を意識し、「部分的売り」!の注文をしていくといいでしょう。

部分的売りがしやすいのは、投資信託です。投資信託は1円単位で解約できるものが主流となっており、小刻みな利益確定がしやすい商品です。逆に現物株などは単位株ごとの購入単価が高くなるので、たくさんの株式保有がしにくく、部分的売りも行いにくいといえます。

「自動的に利益確定」は可能か

ところで、自動的に利益確定を行う方法はないものでしょうか。十分に成長した資産について適宜売却を行い、相対的に安いと考えられる資産を組み入れるようなリバランスのプロセスが自動的に行われるのであれば、検討してみる余地があります。

今のところ、有効な手法として考えられるのは「バランス型投資信託」の活用です。バランス型の投資信託は基本的なアセットミックスを提示し、アセットミックスから乖離した状態になれば一定のルールにもとづきリバランスを行います。投信会社の判断で、勝手に運用方針を逸脱することはできませんので、個人が忙しくて投資のメンテナンスが行えない場合においても粛々と売買を行ってくれます。

ただし、「そもそもそのバランス型投資信託の運用方針は自分の好みにあっているか」という問題を最初に確認しておかなければ、自分の理想と異なる資産配分がえんえんと維持されることになってしまいます。また、中長期保有を考えるなら、運用の手数料が割高になりがちなのは注意すべきですが、単品の投資対象ごとに投資信託を購入するほうがバランス型投資信託保有より割安になるのが一般的です。

このコスト差について、現物株式をバリバリ売買する人からすれば、ムダな費用と見えるかもしれません。しかし、投資初心者として「費用が見合うか」は一考してみる余地があります。例えていえば、ユーザー車検をする人が代理店に車検を頼む人を「ムダなお金を払う」とバカにする構図に似ています。自分が専門性の不足している領域について、かつその対応時間を確保できない場合において、納得のいく水準であれば、専門家の力をお金で買うことはおかしいことではないはずです。

問題は、費用が見合うものか、ということです。「部分的売り!」も実行されずに放置されれば、理想論に終わってしまいます。未実行のまま放置されることの悪い面が出てしまわないようにするコストとしてバランス型投資信託の手数料が折り合うかどうか考えてみるといいでしょう。

近年の投資信託は手数料が引き下げられた商品が含まれるようになっており、「購入時の目利き」さえできれば、その後はかなりリーズナブルに売買コストをアウトソースできるようになっています。比較検討してみてください。

今回のコラムの結論は「上手な売りをするためには、最初にしっかり買いを吟味する」ということになりました。売りと買いは連結していることがいみじくも明らかになったといえます。せっかくの上昇相場です。上手な利益確定を試みてみてください。

「売る」は終わりではなく「買う」の始まり

 

初心者の「初めての利益確定」入門

 

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