Money Hack5インフレに早く備える必要は無い。3つの「2%」を見よ!

 インフレは、金融業界が長らく使ってきた「商材」だ。「老後不安」と共に二大商材の一翼だと言っていいかもしれない。そのため、投資家の頭の中には(特に古い投資家さんの頭の中には)「インフレ」が強烈なイメージとして刷り込まれている。

 確かに、投資家にとって、「インフレになった先」に訪れる状況は楽しいものではない。

 ただし、「インフレはいきなり来るものではない」。端的に言って、今からインフレに備えたポートフォリオを持つのは早過ぎる。

 インフレは徐々に起こるはずだし、その過程では、「コロナ明け→好景気→信用拡大→インフレ」といったプロセスが順を追って動くのであり、インフレが問題になる時点までには、リスク資産の投資はそれなり以上に収益を稼いでいるはずだ(「絶対!」とは言えないけれども、期待することに無理はない)。

 インフレに対する対策は、様子を見ながら行えばいい。インフレをより早い時点で予想できたからといって、投資で成功するとは限らない。投資では、「利口ぶり過ぎないこと」が肝心だ。

 めどとなる指標としては、以下の3つの指標が「2%」を超えるか否かを見ておくといい。それは、1インフレ率、(2)長期金利、(3)実質金利だ。

 理由は、是非、読者自身で考えてみてほしいが、これらの3つの指標のうち、2つが「2%」を超えたら、インフレを意識してポートフォリオをどうするべきか、真剣に考えてみることにするといい。

 コロナが問題である時期が早く終わって、早くインフレの心配をできるようになると喜ばしい。

 なお、コロナが終わっても、経済政策がまずいとインフレではなくデフレになっている可能性もある。これは、残念で避けたい状況だが、あり得ない訳ではない。あり得る将来のストーリーは一つでないことをお断りしておく。