最悪のケースと選択銘柄

 こうした中、今後の株式市場で考えられる最悪なシナリオ、最善のシナリオは以下の通りです。

最悪のケース:米国内外でロックダウンが再開する

 世界的にロックダウンの再開が濃厚となれば全面安となるでしょう。

 ただ、2~3月のような暴落には至らないのではないかと考えています。その理由は、当初感染者数が拡大して苦戦していたニューヨーク州で感染者数が落ち着いているなど、適切な対策を取れば感染をコントロールできるという実例が出てきていることです。

 FRBや政府が状況を黙って見過ごすことはないでしょうし、治療薬やワクチンに対する期待が相場を下支えすると考えられます。感染者数をコントロールしながら経済を前に進める道を模索していく方向になるとみられます。

 一度売られた局面では、ロックダウンの影響を受けにくく、「ニューノーマル」の波に乗る大型成長テクノロジー企業を拾いたいところです。最近の時価総額ランキングでは、時代の変化を捉えた企業がランキング上位を占めており、時代をけん引していく主役の交代が起きているように見えます。

米国株式市場の時価総額はテクノロジー企業がけん引

ティッカー 名称 時価総額
(億ドル)
PER
(倍)
年初来トータル
リターン(%)
AAPL アップル 16,553 30.0 30.7
MSFT マイクロソフト 15,703 36.6 32.0
AMZN アマゾン・ドット・コム 15,482 148.3 68.0
GOOGL アルファベット 10,320 31.1 12.9
FB フェイスブック 6,815 29.0 16.4
BABA アリババ・グループ 6,752 43.0 18.7
BRK/A バークシャー・ハサウェイ 4,473 18.5 18.7
JNJ ジョンソン&ジョンソン 3,826 22.3 0.9
V ビザ 3,674 33.8 0.9
WMT ウォルマート 3,668 26.2 10.0
PG P&G 3,071 25.6 0.6
JPM JPモルガン・チェース 2,975 11.5 ▲28.0
MA マスターカード 2,913 37.1 ▲2.4
UNH ユナイテッドヘルス 2,842 21.0 2.8
TSLA テスラ 2,777 9469.4 257.9
SPY SPDR S&P 500 ETF 2,765   ▲1.1
HD ホームデポ 2,685 24.8 15.8
INTC インテル 2,480 11.8 ▲1.1
NVDA エヌビディア 2,473 74.6 71.1
NFLX ネットフリックス 2,311 106.4 62.4
VZ ベライゾン 2,253 10.1 ▲8.4
ADBE アドビ 2,122 58.5 34.2
T AT&T 2,120 13.3 ▲20.1
DIS ウォルトディズニー 2,099 33.3 ▲19.6
BAC バンクオブアメリカ 2,099 9.9 ▲30.4
PYPL ペイパル 2,014 84.2 58.6
IVV ISHARES-C S&P500 1,979   ▲1.2
PFE ファイザー 1,956 15.0 ▲8.3
MRK メルク 1,952 14.1 ▲13.6
KO コカ・コーラ 1,943 20.8 ▲16.8
出所:ブルームバーグより楽天証券作成(2020年7月13日時点)
注:年初来トータルリターンは、配当の再投資も含む

米国トップ企業の「ニューノーマル」銘柄一覧

ティッカー 名称 事業内容
AAPL アップル ウェアラブル端末やアプリなど各種オンラインサービスが成長をけん引へ
MSFT マイクロソフト クラウドサービス「アジュール」が大幅続伸中
AMZN アマゾン・ドット・コム オンラインショッピングの有料会員数拡大、中長期でインドを狙う
GOOGL アルファベット 動画配信のユーチューブやクラウドが拡大。中国アプリを禁じたインドに積極投資発表
FB フェイスブック ユーザー数拡大。ECショッピング強化、ティックトック排除の動きは追い風か。
BABA アリババ・グループ 中国のオンラインショッピング大手
NVDA エヌビディア クラウドを支えるデータセンター向け半導体が成長中
NFLX ネットフリックス 動画サブスクリプションサービス大手
PYPL ペイパル オンラインショッピングで使えるネット決済サービスを提供
出所:各種資料より楽天証券作成

 上記で紹介した銘柄は、足元で起きている中国系オンラインサービス締め出しの動きでも恩恵を受ける可能性があります。米国政府は中国系の短編動画アプリ「Tik Tok(ティックトック)」の締め出しを検討していますが、インドは既に59の中国系モバイルアプリを禁止しています。

 このような動きは、ティックトック類似のアプリを立ち上げているフェイスブック(FB)にとってチャンスですし、アルファベット(GOOGL)はインドに100億ドル(約1兆円)のファンドを設立すると発表しています。

フェイスブックの株価

出所:楽天証券ウェブサイト(2020年7月14日まで)

アルファベットの株価

出所:楽天証券ウェブサイト(2020年7月14日まで)

 楽天証券のランキングを見ると、配当利回りが高いAT&T(T)コカ・コーラ(KO)、高配当株式ETFのSPYDが人気かと思いますが、上記で紹介したテクノロジー企業や、それらを含む、ナスダック100指数銘柄で構成されるETFのパワーシェアーズ QQQ 信託シリーズ1(QQQ)等を保有しておくと、より分散効果が高まるかと思います。

高配当株式ETFのSPYDと、ナスダック100連動型ETFのQQQで広がる格差
2020年初を100とした場合の株価推移
期間:2020年1月2日~7月13日

出所:ブルームバーグより楽天証券作成