今後の株式市場について

―――それでは、今後の株式市場についてはどう考えていますか? これからも株高は続くのか。それともバブルが崩壊するのか。

 さっきの話、聞いてましたか? 将来のことは分かりません(笑)ただ、それを言ってたら話が進みませんので、基本的な私の考え方を共有します。

 株式市場にはいろいろな考え方の人が参加しているので、いまの株価水準が割高に見える人もいれば、割安に見える人もいます。また、いまの相場がバブル相場なのかどうかも意見が割れることでしょう。

 しかし、理論価格のようなものを算出することは可能で、それを基に現在の水準が割高かどうかなどを判断することは可能です。もちろん、理論価格の算出に使用する数字が本当に正しいのか、適切なのかなどの話もあるのですが。

 先ほど、実体経済と株価が乖離していると言いましたが、これは私には割高に見えているということです。仮にこの状態をバブルとするならば、それはいつか弾けるでしょう。バブルがいつ弾けるかは誰にも予想できませんが、少なくとも過去のバブルは全て弾けてきました。

 過去のバブルについて見てみると、だいたい過剰な緩和によってバブルが醸成されて、中央銀行が景気の過熱を抑えることに出遅れることで、その対応が行き過ぎてしまい、結果として景気をオーバーキルしてしまい、バブルが弾けていくという流れですね。

 今回も暫くは株高が続くのでしょうが、いずれは大きく下落する局面が訪れるのだと思います。何度も言いますが、それが何月ですとか断言はできません(笑)

―――いずれバブルは崩壊すると言われると、「やっぱり投資はやめておこう」となってしまいそうですが。

 でも、そんなことを言ってたらいつまで経っても投資なんてできませんよ。何度も言いますが、将来の相場変動なんて誰にも分かりません。そして、「100年に1度の危機」がこの20年の間に何回も起きているんです。この記事を読んでいる最中に大地震が来るかもしれないし、実は新たなウイルスがまん延しているかもしれない。

 安い時に買って、高く売ればもうかるというのは投資の原則ですが、そんなことが誰にでもできるんだったら、そもそも「老後2,000万円問題」なんて存在しませんし、みんな働くことをやめて投資だけで生きていけます。

 タイミングを計ってうまく投資するのなんて運に身を任せるようなものです。だからこそ、定額を一定期間で積み立てていくことを勧めているのです。一度始めたら、あとは淡々と継続していくのみ。そのスタイルで相場に臨むのであれば、下落局面はむしろ有難いと思えるはずです。この投資法の弱点は、相場が上昇し続けることや下落し続けること。一方向に相場が動き続けると損をする確率が上がります。

 投資期間中に相場が上下に変動し続けてくれた方がいいのです。詳しくは拙著『いちばんカンタン つみたて投資の教科書』に全て書いてありますから、ぜひ投資生活のお供として読んでいただければと思います。

森永康平:
金融教育ベンチャーの株式会社マネネCEO、経済アナリスト。 証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとしてリサーチ業務に従事。その後はインドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて法人や新規事業を立ち上げ、各社のCEOおよび取締役を歴任。現在はキャッシュレス企業のCOOやAI企業のCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員。著書に『MMTが日本を救う』(新書/宝島社)や、父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(新書/ KADOKAWA)がある。 Twitter:@KoheiMorinaga

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