世界中の投資マネーを集めて高値更新続くナスダック

 日経平均・NYダウの上値が重くなる中、最高値更新が続いているのが、米ナスダック総合指数です。

日経平均・NYダウ・ナスダック総合指数の動き比較:2020年2月21日~7月10日

注:2月19日の値を100として指数化

 ナスダック総合指数が強いのは、GAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)など、世界のITインフラを支配しているIT大手の構成比が高いことが理由です。

 コロナ・ショックを受け、世界中で、ITを活用した産業構造の変革が加速する見通しとなったことから、GAFAMの成長期待が一段と高まっています。GAFAM5社の時価総額は、7月10日時点で約6.45兆ドル(約690兆円)と、東証一部の時価総額(約586兆円)を大幅に上回っています。

 米国のナスダックは、日本のジャスダックや東証マザーズと同様、新興企業が新規上場する市場です。ただ、日本と異なり、ナスダックに上場した新興企業は、急成長し、時価総額が大きくなってもそのままナスダックに留まっています。

 日本では、ジャスダックや東証マザーズに上場した新興企業は、成長して時価総額が大きく伸び始めると、ことごとく東証一部に移ってしまいます。ところが、ナスダック上場企業は、大きくなっても、日本でいえば東証一部に相当するNYSE(ニューヨーク証券取引所)に移ろうとしません。そこが日本との違いです。

 新興企業がナスダックに上場し、そのままナスダックに留まるので、NYSEはだんだんオールド企業の集合体のようになってきます。その結果、米国の株価指数で、NYダウにはややオールド企業が多く、新興企業の多いナスダックと対照的です。

 NYダウは、もともとNYSE上場の時価総額の大きい30社から構成されるNYSEの指数でしたが、ナスダック上場企業を入れないと、新興企業の入らないオールド指数となってしまうので、今は、ナスダック上場の4社、マイクロソフト・インテル・アップル・シスコシステムズを、ナスダック上場のままNYダウに組み入れています。

 それでも、ナスダック総合指数と比較すると、オールド企業の影響を受けやすくなっています。航空機大手ボーイングや、建設機械大手キャタピラーなどが、NYダウの足を引っ張っています。