米株は強気ムード。その背景は?

 先週発表された6月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数は+480万人と予想(+300万人)を上回り、また、5月の+269.9万人も上回りました。失業率は11.1%と、これも予想より改善され、前月の13.3%より改善されました。しかし、同時に発表された前週分の新規失業保険申請件数や失業保険継続受給者数が予想より大きかったことから、ドル/円はほぼニュートラルの動きとなり、107.50円を挟んだ動きでした。NYダウ平均株価も一時400ドルを超える上昇となりましたが、結局92ドル高で終えました。

 しかし、米国株式は7月に入って強気ムードが漂っています。

 7月6日のナスダック株価指数は5日続伸で最高値を更新。また、NYダウも3週間ぶりの高値をつけました。この強気の背景は、欧米の経済指標が予想よりよい数字の発表が相次いだこともありますが、中国の上海株が大きく上昇したこと。アジア株や欧米株をけん引したようです。6日には、上海株は2018年2月以来の高値となり、政府系メディアが中国経済の先行きに強気の見方を示し、株高を支持する論説を掲載したことも買いを後押ししたようです。

 もともと官製相場の色彩が強い上海市場ですが、香港国家安全法が施行された6月30日以降に上昇していることを見ると、政府の本気度も感じられ、しばらくは上昇相場が続くかもしれません。とはいえ、官製相場だという点には留意しておく必要があります。

 また、6月30日に発表された中国の6月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は50.9と、3カ月ぶりに改善。このことも株高を後押ししたかもしれませんが、内容は手放しでは喜べない内容です。雇用回復に遅れが見られ、中小企業の景況感は4カ月ぶりに、好不況の境目である50を下回っています。

 そして、日本経済新聞(2020年7月6日付)によると、中国担当エコノミストの4-6月期実質GDP(国内総生産)成長率の予想平均値は+1.1%と、前期の▲6.8%からプラスに転じています。しかし、通年の予測でも+1.6%程度であり、V字回復は期待できないようです。7月16日に予定されている中国4-6月期GDP発表後も上海株は続伸するのかどうか、しばらくは上海株に注目です。