株価上昇中の信用買い残高増加はあまり心配いらない

信用買い残高は、時系列に並べ、増加傾向にあるか減少傾向にあるかを調べるのが有用です。

信用買い残高が減少傾向にあれば、将来の売り圧力が解消に向かっていることを表しますからプラス材料です。

一方、信用買い残高が増加傾向であっても、株価が上昇している間は心配ありません。信用取引の回転が効いている(つまり、信用買いにより利益が出ている)ためです。また、株価上昇に伴って信用買い残高も増加していくのが通常です。

ただし、信用買い残高が大量に残ったまま株価が下落に転じたり、株価下落中に信用買い残高が増加を続ける場合は、含み損の発生により信用買いがしこってしまうため需給にマイナスの影響を及ぼします。

信用買い残高が高水準であっても株価が大きく上昇することもある

なお、信用買い残高が高水準だからといって、株価の大幅な上昇が全く期待できないわけではありません。信用買い残高の決済に伴う売り圧力を吸収できるだけの大量の現物買いが発生した場合は、信用買い残高の整理が進んで売り圧力が弱まるため、株価は大きく上昇することもあります。

信用買い残高の減少を伴いながら株価が上昇している場合、大口の投資家による現物買いなど、強い買い需要が生じている可能性が高まります。こうしたケースでは、株価の大幅な上昇も大いに期待できますから要注目です。さらに、信用買い残高の減少とともに信用売り残高が増加しているようであれば、信用売りの踏み上げ(損失覚悟の買戻し)により株価上昇が加速する可能性もあります。

各個別銘柄の信用買い残高や信用売り残高は、口座を持っている証券会社にログインすれば確認することができます。

また、ヤフーファイナンスでは、個別銘柄ごとに信用買い残高・売り残高・信用倍率などの時系列データをみることができるので便利です。

個別銘柄の株価は長期的には業績をはじめファンダメンタルにより動くといわれていますが、短期・中期的には信用取引の動向をはじめとした需給要因も大きく株価に影響します。「自分の買った銘柄の株価は日経平均株価やTOPIXが上昇してもちっとも上がらない」とお悩みの方は、ぜひ信用残高の動向にも目を配ってみるようにしてください。

次回は、個別銘柄の株価チャートと信用残高をみながら事例研究をしていきます。

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